2012 Fiscal Year Annual Research Report
食品由来タンパク質代謝物インドキシル硫酸による腎不全進行促進メカニズムの解析
Project/Area Number |
23700830
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 英寿 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任講師 (10547532)
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Keywords | 慢性腎不全 / 尿毒症物質 / トリプトファン代謝物 / インドキシル硫酸 / 細胞老化 / 線維化 / 炎症反応 |
Research Abstract |
食品からタンパク質を摂取する事は人間にとって生命の営みに必須であるが、近年、腎不全の進行を促進する物質として、食品タンパク質由来トリプトファン代謝物であるインドキシル硫酸の存在が明らかとなっている。インドキシル硫酸は通常、尿として体外へ排泄されるが、腎機能の低下に伴い血中に蓄積され、さらなる腎機能の障害を引き起こす。そのため、血中インドキシル硫酸濃度を低下させる事は創薬のターゲットとなっているが、インドキシル硫酸が腎機能の低下を導く詳細なメカニズムついては明らかになっていないのが現状である。そこで昨年度に引き続き、本年度においても、そのメカニズムを解析する事を目的とした。本年度においては、以下のような結果を得ている。(1)腎不全時において、抗酸化遺伝子であるNrf2とその下流に存在する遺伝子の発現が低下する事が報告されているが、その原因の1つにインドキシル硫酸によって活性化されるNF-kBが関与していた。(2)腎不全の進行過程において、近位尿細管細胞でのアンジオテンシノーゲンの発現増加が報告されているが、この発現増加メカニズムの一端として、インドキシル硫酸によって引き起こされるCREB、NF-kB、NOX4の活性化及び発現増加か関わっていた。(3)腎臓の線維化が導かれる原因として、マクロフォージが浸潤するために必要な接着因子が腎臓で発現増加している事は既知の事となっているが、インドキシル硫酸は、活性酸素の産生、NF-kBとp53の活性化を介して、接着因子の1つであるICAM-1の発現増加を導いていた。 以上のように前年度と合わせ、腎不全の進行促進に対してインドキシル硫酸が与える影響について、その分子メカニズムの一端を明らかにした。
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[Presentation] Indoxyl sulfate, a uremic toxin, downregulates renal expression of Nrf2 through activation of NF-κB.2012
Author(s)
Niwa, T., Bolati, D., Yisireyili, M., Nishijima, F., Shimizu, H.
Organizer
American Society of Nephrology
Place of Presentation
San Diego, USA (San Diego Convention Center)
Year and Date
20121030-20121104
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