2012 Fiscal Year Annual Research Report
加齢に伴うアスコルビン酸レベル低下機構と加齢性機能変化の関連性解明とその制御
Project/Area Number |
23700838
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
斉藤 靖和 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (90405514)
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Keywords | アスコルビン酸 / 細胞老化 / 活性酸素 / 酸化ストレス / 老化 / ビタミンC / SVCT / 加齢 |
Research Abstract |
正常ヒト線維芽細胞OUMS-36の細胞老化に伴うアスコルビン酸(AsA)取込み量の変化および老若細胞間での細胞内酸化ストレスレベルの違いとAsA投与による影響について検討し,AsA取込み能が老化細胞でおよそ2倍高いことを見出した。また,OUMS-36のメインアイソフォームはSVCT2であることを明らかにし,その発現レベルが老若細胞間で大差なかったことから,AsA取込み能の変化はSVCT発現量の変化とは異なる要因であることを明らかにした。次に,無刺激および酸化ストレス条件下における老若細胞間での細胞内酸化ストレスレベルとAsA投与による影響を検証した。その結果,無刺激条件においては,若い細胞の方が細胞内O2・-レベルが高いのに対し,老化細胞では,ペルオキシドおよび過酸化水素などが増加していることを明らかにした。一方,酸化ストレス誘導剤t-BuOOH曝露条件では細胞内O2・-量は老若細胞間で大差なかったが,細胞内ペルオキシドおよび過酸化水素などのレベルは増加し,特に老化細胞で顕著に増大していた。また,老化依存的な細胞内活性酸素の増加に対するAsA投与の影響を検討したところ,AsA投与は両条件下において,濃度依存的に,特に老化細胞の細胞内酸化ストレスを顕著に低下させた。 これらの結果より,ヒト線維芽細胞OUMS-36では,細胞老化に伴ってペルオキシドや過酸化水素などの細胞内酸化ストレスが増大しており,その増加に対する細胞応答の1つとしてAsA取り込みが増大している可能性が示された。また,老化細胞において増加した細胞内酸化ストレスに対してAsA投与が有効であったことから,加齢に伴いAsA摂取の重要性が増していることが示唆された。今後,更に解析を進めていくことで,高齢者における適正なAsA摂取量を設定するための基礎的かつ有効なエビデンスが集積されると思われる。
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Research Products
(1 results)