2012 Fiscal Year Research-status Report
健忘型軽度認知障害からアルツハイマー型認知症への進行予測に関する研究
Project/Area Number |
23700840
|
Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
児玉 直樹 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 准教授 (50383146)
|
Keywords | 軽度認知障害 / アルツハイマー型認知症 / 脳萎縮 / 進行予測 / コンピュータ支援診断 |
Research Abstract |
これまでに開発した認知機能データベースに登録されたアルツハイマー型認知症患者および軽度認知障害患者のうち、2年以上に渡って経過観察することのできた患者を対象に、昨年に引き続き検査データの経時変化について検討した。 本研究の対象は物忘れを主訴としてクリニックを受診し、2年間にわたって追跡調査をすることのできた174名である。なお、全ての対象者にMMSEおよびCDRを実施している。CDR0.5では初診時のVSRADは2.29±1.39であるが、2年経過後に2.71±1.53とVSRADは大きな値となった。CDR1では初診時VSRADは2.76±1.65であるが、2年経過後には3.28±1.84に、CDR2では初診時VSRADは3.01±2.04であるが、2年経過後には3.60±2.17となった。どの認知症重症度においても海馬傍回の萎縮は年々進行していることが示された。また、MMSEのサブ項目である計算の項目は、年数の経過とともに得点が低下することが示された。 さらに、初診時CDR0.5であった66名のうち、2年経過後に25名はCDR1に移行した.CDR0.5からCDR1に移行した群と移行しなかった群のVSRADについて比較すると、非移行群に比べて移行群の方が初診時においてVSRADの値が有意に高くなった。 これらのことから、VSRADは軽度認知障害からアルツハイマー型認知症へ移行するための予測パラメータになる可能性を示している。今後、長期間追跡されたVSRADデータを蓄積することにより、高い予測パラメータになるものと考えられる。また、MMSEなどの認知機能検査結果と比較検討することで、より精度の高い予測パラメータを見つけることができるものと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、研究の目的に対して概ね順調に研究は進んでいるものと考えられる。これまでの2年間において、(1)既に撮像されたMRI画像、認知機能検査結果や臨床経過などの医療情報データについて、医療情報データベースとして管理、整備することができた、(2)認知機能検査結果などについて時系列のデータ解析を行い、アルツハイマー型認知症へ進行する群と進行しない群の相違を明らかにできたこと、(3)アルツハイマー型認知症へ進行する群と進行しない群の相違点をもとに、健忘型軽度認知障害の早期診断および発症前診断が可能な因子を抽出できたこと、(4)健忘型軽度認知障害の適切な診断を促すことを支援するためのシステム開発に着手できたこと、が主な理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、健忘型軽度認知障害からアルツハイマー型認知症への進行予測およびアルツハイマー型認知症の予後予測について、医師や医療従事者、さらには患者へ客観的に提示することが可能なシステムを開発するとともに、本研究において開発したシステムが臨床で使用することが可能かどうか医学的観点から評価を行う予定である。 なお、健忘型軽度認知障害に対して適切な診断を促すシステムの開発およびアルツハイマー型認知症への進行予測および予後予測システムの開発については、医学的な観点からシステムの評価を行い、不備な点を改良するだけではなく、医師および医療従事者が使いやすいシステムになるよう人間工学的な観点での検討を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は研究成果を積極的に公表するため、国内旅費および外国旅費に重点的に使用する予定である。なお、本研究は医療機関との綿密な打合せが必要であるため、研究打合せ旅費を計上するとともに、専門的知識の提供として謝金も計上する予定である。 なお、旅費、謝金等については学内の規定に従って算出をする。
|
Research Products
(2 results)