2012 Fiscal Year Annual Research Report
心臓における解糖系酵素GAPDHを介した新規インスリンシグナル伝達経路
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23700843
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
馬場 猛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80366450)
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Keywords | 心筋 / インスリン / 2型糖尿病 |
Research Abstract |
血糖値制御システムの破綻によって糖尿病が発症することから、血糖値調節機構を解明することが重要だと考えられる。これまで、心筋細胞由来のH9c2細胞株において、インスリン刺激依存的にGAPDHがリン酸化され、このリン酸化に伴い、GAPDHの酵素活性が亢進し、さらにウエスタンブロット法によってGAPDHは細胞骨格・細胞運動に寄与するアクチンと会合していることを明らかにした。このシグナル伝達の詳細なメカニズムを解明するために、GAPDHおよびアクチンが心筋細胞へのインスリン刺激によりどのような局在を示して機能しているのかを明らかにすることを目的とし、蛍光タンパク質とGAPDH、蛍光タンパク質とアクチンの融合タンパク質発現解析系を構築し、蛍光顕微鏡によって細胞内局在を視覚的に検討した。インスリン刺激前ではGAPDHおよびアクチンは細胞質内に偏在しているが、インスリン刺激を行うと、GAPDHおよびアクチンが細胞質内の同じ場所に一部、強く集積してくることが観察された。これによりウエスタンブロット法によって得られたインスリン刺激によるGAPDHとアクチンの会合が裏付けられた。またGAPDHは単独で核移行していることも観察された。エンドトキシン刺激したマクロファージやグルタミン酸刺激した神経細胞ではGAPDHが核移行し、アポトーシスを誘導するとの報告がある。従ってインスリン刺激を受けた心筋細胞もGAPDHの核移行によってアポトーシスが誘導される可能性が示唆される。今回の成果である心筋細胞におけるGAPDHとアクチンの会合ならびにGAPDHの核移行に伴うアポトーシスの可能性をさらに詳細に検討し、多岐にわたるGAPDHの機能を解明することが、糖尿病のみならず、心疾患治療の創出に結びつくことが期待される。
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