2011 Fiscal Year Research-status Report
生物多様性・生態系に配慮した商品についての消費購買意識調査
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23700857
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
稲垣 雅一 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (60451548)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 生態系 / コンジョイント分析 |
Research Abstract |
企業における従来の生物多様性に対する取り組みは,植林など社会貢献的なものが多く,今後,(1)直接影響の削減,(2)間接影響の削減(3)土地水域の管理・保全といった点がますます求められている.しかしながら,企業がこのような取り組みを行っても,消費者がこの取り組みを理解し,支えていかなければ持続可能な成長は達成できない. そこで本研究では,生物多様性・生態系に配慮した商品について消費購買意識調査を行うことで,消費者の生物多様性に対する意識を定量的に把握し,また,生物多様性を維持しながら持続可能な成長を続けていくために必要な施策について検討することを目的とする.具体的には,生物多様性・生態系に配慮した商品を具体例として消費者に対してアンケートを行い,消費者の配慮商品に対する購買意識についてコンジョイント分析を行うものとする. 今年度の計画においては,既存研究の整理や先進事例調査を行うことを予定していた.既存研究においては,前述のような生物多様性・生態系に配慮した商品について定量的に実証分析を行った研究は存在しないものの,本研究に適用可能な分析手法についてはいくつかの研究が存在する.例えば,環境配慮型商品の市場調査をコンジョイント分析によって行った研究や,消費者の生物多様性・生態系への配慮を定量的に把握している研究が存在する.今年度は,これらの研究について取りまとめ,本研究に適用するための課題を検討した. さらに今年度の計画では,先進事例を調べることが予定されていた.現時点における具体的な事例としては,サラヤ株式会社のヤシノミ洗剤を候補としている.このヤシノミ洗剤は,その売上の1%がボルネオ保全トラストを通じてキナバタンガン川の「緑の回廊」の保全に活用されている.このような生物多様性保全のための取り組みに対して,消費者がどの程度,商品を評価しているのか定量的に分析できればと検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れている理由として,当初計画していた生物多様性・生態系に配慮した商品を開発している企業へのヒアリング等の情報収集が延期されたことが挙げられる.企業とのスケジュールが合わず,次年度に延期された.この点については,できる限り早く対応する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,まずは遅れている企業へのヒアリングを進める.また,当初の計画であった,アンケート設計およびプレ調査,本調査および調査結果の解析と社会への発信についても同時に進めていく予定である. アンケート設計およびプレ調査では,コンジョイント分析を行うために,生物多様性・生態系に配慮した商品を参考に,いくつかの配慮方法を属性として抽出し,プロファイルを作成する.そしてアンケート本調査に先立ち,プレテストを行う予定である. 本調査および調査結果の解析と社会への発信では,プレテストの結果を基に,アンケートに問題がないかを吟味し,必要に応じて修正を加える.本調査は,インターネットによるアンケート調査によって実施し,そこから得られたデータを統計的に分析する.さらに,その分析結果を学会で報告し,企業に発信していくことを予定している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,当初計画していた生物多様性・生態系に配慮した商品を開発している企業へのヒアリング等の情報収集を次年度に延期することによって生じたものであり,延期した情報収集に必要な経費として平成24年度請求額とあわせて使用する予定である. また,本年度には前述のようにアンケート設計およびプレ調査,本調査および調査結果の解析と社会への発信を予定している。これらの進捗に合わせて,研究費を順次利用していく予定である.
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