2012 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲脳活動測定による高齢者の生活支援を目的とした意思伝達用インタフェースの開発
Project/Area Number |
23700860
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
浅野 裕俊 香川大学, 工学部, 助教 (70453488)
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Keywords | 酸素化ヘモグロビン濃度変化量 / 近赤外分光法 / 生活支援 |
Research Abstract |
要介護者が家族や施設スタッフに意思を伝える為には身体的・精神的苦痛に対する客観的な判断が必要であることから,非侵襲脳活動計測による感情の客観評価技術の確立を目的として,近赤外分光法を利用した喜-哀感情の客観評価の可能性について検討した.高次元感情である喜-哀感情を酸素化ヘモグロビン濃度変化により評価できれば,より複雑な感情評価が可能となり,介護者と要介護の円滑なコミュニケーションの一助と成り得る.実験は,音楽聴取課題とし,2つの異なる感情を喚起する音楽を聴取させ,その間,前頭葉部の酸素化ヘモグロビン濃度変化を測定した.また,課題終了後にVisual Analog Scaleアンケートを行い,音楽聴取時における心理量を計測した.生理量及び心理量との関係性について検討した結果,前頭葉右背外側部及び正中部において関連性がみられ,喜-哀感情を客観評価できる可能性が示唆された.また,発語及び筆記 時の脳活動信号の特徴量から行動推定を試みた.発語と筆 記は人間が行う基本的意思伝達行動手段の一つであることから選定した.本研究により,脳活動信号に基づく行動推 定が可能となれば,要介護者の意思検出や伝達に応用できる.まず,評価指標を使用して各チャンネルにおいて t 検定を行い,発語と筆記の違いを客観評価できる可能性のある脳部位を検討した.実験の結果,右上部近傍のチャンネルにおいて有意差が確認された.また,本結果を基に階層結合型ニューラルネットワークを用いて発語時及び筆記時における脳活動から行動状態を推定した.その結果,ブローカ野近傍の部位にあたるチャンネルにおいて発語時と筆記時における酸素化ヘモグロビン濃度変化量に有意差を確認した.この結果から発語時と筆記時の脳活動の差異を評価できる可能性を示唆した.これらの研究成果は電気学会論文誌A及び電気学会論文誌Cに掲載された.
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