2011 Fiscal Year Research-status Report
認知症発症予防にペットは活用できるのか―コホート研究による検討
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23700863
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山崎 由花 順天堂大学, 医学部, 助教 (80579293)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ペット / 高齢者 / 認知機能 / Quality of Life / コホート研究 |
Research Abstract |
具体的内容:我が国は超高齢化社会を迎え、認知症患者も増加している。ペットは高齢者のストレスを緩和し、健康増進に寄与すると欧米諸国を中心に研究されてきたが、横断研究(一時点のみの評価)が中心で結果に一貫性がない。今回は、東京都杉並区の福祉法人浴風会・浴風会病院の65歳以上の外来受診者と付添家族を対象に、ペット飼育と生活習慣を調べる質問票調査を行い、その後、心理検査を行った。最終的には、平成23年度のペット飼育状況が、その後の認知機能、精神状態、QOL(Quality of Life)に与える影響を平成26年まで追跡し統計学的に評価する。意義:本研究の最大の強みは、「ペットが高齢者の健康に与える恩恵」について縦断研究(長期にわたる研究)を試みる点で、一貫性を示せなかった研究の答えを導ける可能性がある。また、ペットと認知機能については、施設の認知症患者に動物介在療法を行った研究は、いくつか存在し、認知機能の改善をみとめているが、人と生活を伴にするペットと認知症発症の関連を探った研究は本研究が初めてである。さらに、昔から動物を使役動物や経済的価値を与えてくれるものとして飼育してきた欧米諸国と異なり、日本ではペットとしての飼育が主である。最近では、少子化、核家族化、独居の影響で、ペットの擬人化、家族化が指摘されている。欧米諸国とは文化背景が異なる日本でペットと人間の健康の関係を調べることは意義がある。重要性:ペットが高齢者の孤独を緩和し、精神状態を安定させ、身体活動量を上昇できれば、QOLの上昇につながる。そして、それらの結果、認知機能が維持できれば、ペットは単なる癒しの効果だけでなく、認知症発症の予防の1手段として利用できるに違いない。また、本研究はペットを飼うことを迷っている高齢者の判断材料の1つになり、将来的にはペットと入所できる高齢者施設等の設立にも寄与するであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、科学研究費を申請し、交付を受けた時点では、杉並区の在宅高齢者から構成される浴風会病院の既存コホート(杉並コホート)を用いて、追跡開始時点(平成17年)のペット飼育と、その後の認知機能や各心理検査の項目の関連を後ろ向きコホート研究で把握する予定であった。しかし、杉並コホートの対象者のリクルート時点での研究目的と本研究の目的が異なるため利用できなかった。そのため、倫理委員会の承認を受けた後、平成23年9月から、申請者、自らが対象者のリクルートを初めから行っている。多忙な外来中のリクルートは非常に難しく、統計学的に十分な人数を確保するには時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、60名の対象者が追跡可能となった。しかし、最終的には、ペット飼育者、非飼育者、あわせて155名を研究対象者としたい。よって、平成24年度はこれまでよりも、さらに多くの外来診療を行っている医師の協力を得て、対象者をリクルートすることと、目標サンプル数に達しない可能性が高い場合は、近隣の他の医療機関の受診患者や家族を対象者に含めることを検討している。また、研究計画としては、平成23年度にリクルートし、心理検査を行った対象者には平成24年度以降も年に一度、認知機能検査をはじめとする心理検査を行い、ペット飼育と認知機能、その他心理検査の関係を統計学的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、さらに多くの対象者をリクルートし、質問票調査、心理検査を行う。そのため、心理検査用紙の購入費用、対象者への謝金、そして、調査にかかる交通費が必要である。また、平成23年度にリクルートした対象者には、平成24年度の心理検査を行う。その際も心理検査用紙、謝金、交通費は必要である。学術学会で研究の進捗状況や得られた結果を報告し、目標人数のリクルートが終了時点で、横断研究の結果を英文論文としてまとめて発表する。
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Research Products
(1 results)