2012 Fiscal Year Annual Research Report
「父親」をめぐる育児に関する意識の形成・変容に関する研究
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23700867
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Research Institution | Shikoku University Junior College |
Principal Investigator |
山瀬 範子 四国大学短期大学部, 幼児教育保育科, 講師 (00455057)
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Keywords | 価値意識 / 育児 / 父親の育児行為 / 家族と社会 / 育児雑誌 / 育児書 |
Research Abstract |
本研究は、育児に関する価値意識を明らかにし、その形成・変容の過程の解明に挑むものである。その際、分析対象として、「父親の育児参加」を取り上げる。父親の育児参加に関する研究においては、父親の育児行為=母親の育児行為とされ、育児に付与される価値や具体的内容が問い直されることがなかった。父親の育児については、母親の育児行為=父親の育児行為という指標が検討されることなく用いられていることから明らかなように、育児行為の見直しや育児観の再検討といった作業は見過ごされてきた。本研究は、不問に付されてきた父親の育児行為の内容・意味づけの分析を通して、育児に関する意識の形成・変容過程の解明を目的としている。 2年間の研究期間において、育児書・育児雑誌を基に「父親の育児」に対してどのような価値が付与されているかを明らかとした。得られた知見は、次の通り。①父親には、遊び方、世話の仕方等、母親と同じように行うとしても、母親と違う独自の役割が求められていること。②育児の楽しさ、育児を通した人間的成長が強調され、育児経験による父親の変化が重視されていること。③社会の変化とともに変化した点としては、「子どもとの関わり方が分からなくて悩む」「子どもと関わる時間を確保するために苦慮する」父親から、近年、「母親と一緒に悩んだり、楽しんだり、共感したりする父親」「育児を楽しむ父親」「育児を通して成長する父親」といった父親像への変化がみられた。 今後、これらの知見を基に、育児観の形成・変容過程に関する実証的な研究、さらに、価値意識に関する研究としての理論化を検討していきたい。
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