2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700870
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
長野 和雄 奈良女子大学, 研究院生活環境科学系, 准教授 (90322297)
|
Keywords | 複合影響 / 等快適線図 / 等受容線図 |
Research Abstract |
照度150 lx条件下において、気温8条件、騒音レベル5条件の組み合わせ条件に青年女性を曝露した実験において、総合的快適感申告に基づき室温と騒音レベルの組み合わせから環境の快適性を0から100の数値で表すことのできるコンター図、すなわち等快適線図を作成している。同様に、総合的受容感申告に基づき等受容線図を作成している。本年度はその両線図の特徴を詳細に分析した。受容性の申告値は、室温およそ24 ℃(SET*)で最大値を示し、この範囲を離れる室温条件ほど(低温側・高温側ともに)、また高騒音条件ほど低かった。この傾向は等快適線図と同様であるが、同じ組み合わせ条件下では快適性よりも高い申告値を示した。そのため、申告値50を快適か否か、受け入れられるか否かの境界とすると、受容性50のコンターは快適性50のコンターよりも広い室温範囲に、また高騒音側に位置する。このことは、快適ではないが受け入れられる環境条件が存在することを示している。日常の生活においては、節電・健康志向・設備能力など様々な理由により、室内環境を常に快適な条件に保たれるとは限らず、多少快適ではなくとも我慢したりあるいはその状況を楽しみながら暮らす場面は少なくない。したがって、従来の環境の快適規準は快適であるか否かを示すのみであったが、今回示した快適でないが受け入れられる環境条件は、快適規準とは異なる新たな規準となり得るものである。これを本研究の重要な知見の一つとして原著論文に取り纏めた。 並行して、高照度条件の場合についての知見を得るため、机上面照度を5000 lx以下に統一し、気温4条件(暑熱:26,30,34,38 ℃)、騒音レベル5条件(46、57,68,79,90 dB LAeq)の組み合わせ条件に青年女性24名を曝露して、被験者の心理・生理反応を得る被験者実験を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな知見の導出に成功し、原著論文として公表することができた。並行して、高照度条件とした被験者実験を予定通り遂行することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験で得た成果の詳細分析を行う。各照度条件において、室温条件と騒音条件を軸とした2次元の等快適線図、等受容線図を導くことができたが、照度条件間の比較はまだ十分ではなく、その考察を深め、取り纏めて学会発表に臨む。 さらに、導き得た等快適線図、等受容線図の適用範囲を広げるための実験を行う。一つは中間的な照度条件(約750 lx)についての実験である。すなわち、気温条件、騒音条件はこれまでの照度条件の場合と同様とし、組み合わせ条件を実現した人工気候室に 被験者を曝露して心理・生理反応を得る実験を実施する。各環境要因によって直接的に生起する感覚(暑さ、寒さ、うるささなど)、環境要素別(熱的・聴覚的)快適感や受容感、総合的快適感・総合的受容感が、150 lx条件と5000 lx条件の中間的な評価となるか否かを確かめる。被験者を青年女性だけでなく、高齢者についても行う。熱条件については被験者への負担が比較的小さい中等度温暖・冷涼な条件に絞る。その他は同様とする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申告用紙印刷にかかる諸経費を別途の予算から支出することができ、結果として少額を繰り越すことができた。4千余りでも少しでも効率的に使用できるよう次年度と合わせることとした。 被験者謝金に約25万は必要である。次年度には国際会議での発表を予定しており、参加費および交通費で30万と見積もっている。そのほかに、申告用紙の印刷費、データ入力補助アルバイト代で残りの予算を使い切る。測器校正費・修理費、論文投稿費等も生じる見込みだが、別途の予算で対応する。
|
Research Products
(1 results)