2011 Fiscal Year Research-status Report
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23700871
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
飯島 美夏 長崎大学, 教育学部, 准教授 (40367876)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 多糖類 / ヒドロゲル / 熱的性質 |
Research Abstract |
マメ科植物から抽出されるガラクトマンナンは、マンノース主鎖にガラクトース側鎖を有する化学構造である。フェヌグリークガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、カシアガムと側鎖頻度の異なるガラクトマンナン多糖ヒドロゲルの水分蒸発機構および性能安定性の検討を行なった。 ガラクトマンナン多糖はその水溶液を冷却してもゲル化しないが、ローカストビーンガムおよびカシアガム水溶液は凍結-解凍を繰り返すとヒドロゲルを形成した。しかし、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガムは凍結-解凍を繰り返してもゲル化しなかった。また、側鎖頻度の異なるガラクトマンナン多糖とκ-カラギーナンを混合して冷却し、ゲル化させると、側鎖頻度の低いガラクトマンナンとκ-カラギーナンには相乗効果が認められたが、側鎖頻度の高いガラクトマンナンには混合による相乗効果は認められなかった。これらの結果から、側鎖頻度によりゲル形成能が異なることが分かった。 側鎖頻度の異なるガラクトマンナン多糖-水系の示差走査熱量分析(DSC)を行なうと、ガラス転移温度は水分率の増加とともに初期に急激に低下し、その後、極小値を示し、やや増加し、一定値に収束した。この極小値を示す水分率とガラス転移温度はガラクトマンナン多糖の側鎖頻度に依存した。また、不凍水量もガラクトマンナン多糖の側鎖頻度に依存した。 以上の結果から、ガラクトマンナン多糖は側鎖頻度により高次構造が異なることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
側鎖頻度の異なるガラクトマンナンを用いて、ゲル形成能を明らかにし、さらに示差走査熱量分析装置でその水の状態と高次構造を明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ガラクトマンナン多糖およびその他の植物由来多糖(サイリウムシードガム、タマリンドシードガム等)を用いて、示差熱熱重量同時測定装置を用いた水分蒸発機構の測定法を検討する。示差走査熱量分析の結果と示差熱熱重量同時測定の結果の関係を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験消耗品(熱分析用試料容器、ガラス器具、試薬など)を購入する。熱分析に使用する液体窒素を購入する。研究成果を国内学会(横浜、東京)および国際会議(大阪)で発表する為の国内旅費として使用する。
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