2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700871
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
飯島 美夏 長崎大学, 教育学部, 准教授 (40367876)
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Keywords | 多糖類 / ヒドロゲル / 熱的性質 |
Research Abstract |
マメ科植物から抽出されるガラクトマンナンは、マンノース主鎖にガラクトース側鎖を有する化学構造である。フェヌグリークガム 、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、カシアガムと側鎖頻度の異なるガラクトマンナン多糖ヒドロゲルの水分蒸発機構および性能安定性の検討を行なった。 ガラクトマンナン多糖はその水溶液を冷却してもゲル化しないが、ローカストビーンガムおよびカシアガム水溶液は凍結-解凍を繰 り返すとヒドロゲルを形成した。しかし、フェヌグリークガム、グアーガム、タラガムは凍結-解凍を繰り返してもゲル化しなかった 。ローカストビーンガムおよびカシアガム水溶液の凍結時の冷却速度を変化させると、得られるゲルの物性が異なることを水中での熱機械分析(TMA)で明らかにした。また、側鎖頻度の異なるガラクトマンナン多糖とκ-カラギーナンを混合して冷却し、ゲル化させると、側鎖頻度の低いガラクトマ ンナンとκ-カラギーナンには相乗効果が認められたが、側鎖頻度の高いガラクトマンナンには混合による相乗効果は認められなかっ た。これらの結果から、側鎖頻度によりゲル形成能が異なることが分かった。 側鎖頻度の異なるガラクトマンナン多糖-水系の示差走査熱量分析(DSC)を行なうと、ガラス転移温度は水分率の増加とともに初期に 急激に低下し、その後、極小値を示し、やや増加し、一定値に収束した。この極小値を示す水分率とガラス転移温度はガラクトマンナ ン多糖の側鎖頻度に依存した。また、不凍水量もガラクトマンナン多糖の側鎖頻度に依存した。 以上の結果から、ガラクトマンナン多糖は側鎖頻度により高次構造が異なり、ゲル形成能が異なることが分かった。
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