2013 Fiscal Year Annual Research Report
皮革塗膜の接合性を高める生分解性ポリマーを用いた新機能性バインダーの研究
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23700872
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
竹本 由美子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助教 (90581926)
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Keywords | キトサン / ポリビニルアルコール / 皮革 / 生分解性 / 抗菌性 / 耐屈曲性 / バインダー |
Research Abstract |
本研究では、合成高分子の中でも特異な水溶性と生分解性を有するポリビニルアルコール(PVA)の優れた接着性と、天然高分子の中でセルロースに次いで生産が多く生物資源として有望視されているキトサンの抗菌性を併せ持つ、PVA-キトサンブレンド溶液を作成し、皮革素材と塗膜(顔料、各種仕上げ剤)との接合性を高めるバインダーとして用いた場合の有用性について検討をおこなってきた。 今年度は、作成したPVA-キトサンブレンド溶液について、皮革でもっとも問題となるカビの発生を未然に防ぐ可能性を確認するため、抗菌性試験を外部へ委託して実施した。溶液の状態のままでは試験が不可能であることから、PVA-キトサンブレンド溶液を乾燥させ、フィルム状に作成した試料について、抗菌性を測定することとした。また、以前の研究でおこなったこともあるフィルム密着法による抗菌性試験で実施を検討したところ、今回の試料では適切な結果を得ることが困難であることが判明したため、測定可能な試験方法を模索することとなった。最終的に、SIAAシェーク法による抗菌性試験が可能であることが解かり、試料をさらに追加作成することになったが、実施することができた。試験による結果、抗菌性を有しないPVAフィルムと比較して、キトサンをブレンドすることで抗菌性が確認できたことから、PVA-キトサンブレンド溶液を用いることで、皮革素材と塗膜との接合性を高めるバインダーに、カビの発生を未然に防ぐ効果も期待できることがわかった。
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