2012 Fiscal Year Research-status Report
住宅における熱中症対策のための台所空間温熱環境の設計法
Project/Area Number |
23700875
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
飛田 国人 大阪府立大学, 現代システム科学域, 准教授 (40465919)
|
Keywords | 台所 / 住宅 / 熱中症 / 温熱環境 / 放射 / 測定技術 |
Research Abstract |
高齢者の熱中症が住宅内で発生することを鑑み,住宅内で劣悪な温熱環境になりやすい台所環境について,新たな調査手法の考案と,台所で行われる行為と居住者意識の関連について明らかにした。具体的には主に次の3項目を行った。 1)日常生活中の生活行為における温熱的快適性の重要度判断因子:日常生活中において行われる主な生活行為15項目について,行為を行っているときの温熱的快適性の重要度を調査し,重要度を判断する際に用いられる要因を因子分析によって検討した。その結果,居住者は「社会文化時間」「家事」「午前」という3つの観点から各生活行為を評価し,温熱的快適性の重要度を判断していることを示した。また,台所で行われる行為は家事が多いために,温熱的快適性の重要度が低く評価されていることが明らかとなった。 2)放射の指向性を考慮した測定器具の開発:台所にあるガスコンロからの熱放射の指向性を考慮して測定できる簡易な放射測定器具を考案し,器具製作方法と有効性を実験により検討した。グローブ温度計のグローブを切断して断熱材で継ぐことで,6面の放射に分けて測定できるが,継目をシーリングしない場合,空気循環が中心温度に影響を与えることがわかった。また,グローブ内に断熱材を貼ることでグローブ内での放射熱授受を抑制することができた。考案した器具により,放射の指向性を体感温度に反映させることができることを示した。 3)台所環境調査手法の開発:これまでの台所環境の実態調査では,温湿度の測定を主な測定要因とし,在室時間や設備の使用時間についてはアンケート調査から明らかにしていた。しかし,居住者の回答の正確さや手間の観点から,より有効な調査手法を検討することが必要であった。そこで,赤外線センサー,照度計,温湿度計を一体化させ,在室状況・照明使用状況・温湿度を記録できる測定器具を開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に必要なデータは,これまでの実測調査とアンケート調査により分析に耐えうる十分な蓄積ができた。台所の設置機器と温熱環境の関連についての明確な知見はまだ得られていないが,今後の分析により明らかにできると考えている。また,今年度に開発した測定器具については,当初の計画以上の成果といえる。以上より,本研究は現段階で,おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度においては,昨年度および今年度の成果を基に台所環境の設計において留意すべき点等を明らかにする。また,得られた成果をとりまとめ,論文等により発表する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は以下のように使用する。 20万円:学会発表および研究打合せのための旅費 20万円:実験器具,トナー,印刷用紙等の消耗品 10万円:論文投稿費用,校正料等
|
-
[Presentation] Thermal environment in relation to activities of daily living during summer2012
Author(s)
Tobita, K., Matsubara, N., Kurazumi, Y., Yamato, Y., Fukagawa, K., Shibata, Y. and Mitsuoka, T.
Organizer
16th Pacific Association of Quantity Surveyors (PAQS) congress
Place of Presentation
ブルネイ
Year and Date
20120707-20120710