2013 Fiscal Year Annual Research Report
海藻類に対する最適テクスチャー改良因子の新規探索とそれを活用した介護用食品の開発
Project/Area Number |
23700879
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山岸 あづみ 山形大学, 教育文化学部, 助教 (00400531)
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Keywords | 昆布 / 軟化 / ほうれん草 / シュウ酸 |
Research Abstract |
ヒトが乾燥昆布を食するには、軟化処理が必要となる。平成23年から行ってきた研究結果から、軟化昆布を凍結乾燥した後に粉末化したものは、乾燥昆布を粉末化したものに比べ、形状が異なることを確認した。そこで、最終年度は昆布の軟化による組織形態や物性の変化について分析を行った。平成23年の結果から、昆布の軟化がもっとも亢進した、ほうれん草と昆布を煮沸し、トルイジンブルー染色により組織形態の変化について確認した。その結果、乾燥昆布は断面が青く染色されていたが、軟化昆布の表層や皮層では、青く染色されている箇所が減少していた。水中沈定体積の結果では、軟化昆布は乾燥昆布に比べて、約2倍あることが明らかであった。軟化した昆布は乾燥昆布に比べ、重量が約半分に減少し、一部の食物繊維が流出していた。しかし、水中沈定体積が高い物質は、ムチン分泌促進作用等の働きがあると言われていることから、軟化昆布と乾燥昆布とでは生体への影響が異なる可能性が高い。これらの結果は、ヒトが食べる形態による昆布の生理作用を明らかにするためにも、意義がある内容と言える。 平成23年-25年に行った実験から、ほうれん草は本実験で用いた8種類の野菜の中で、もっとも昆布の軟化を亢進させ、この軟化にはほうれん草中のシュウ酸が関与していることが明らかとなった。また、昆布の軟化にはアルギン酸の流出が1つの要因であることが確認できた。さらに、軟化した昆布は水中沈定体積が高くなるなどの変化が生じていた。 これらの結果から、お酢など高齢者がむせ易い調味料を使用しなくても、乾燥昆布が軟化する野菜やその成分を明らかにすることができた。また、ヒトが実際に昆布を食する形態での性質を明らかにした点は、昆布によるヒトへの影響を検証する際の重要な基礎データになると考えられる。
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