2011 Fiscal Year Research-status Report
デンプン及びデンプン性食品の老化度のリアルタイム測定法の開発
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23700886
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
岡本 由希 和洋女子大学, 生活科学系, 准教授 (20348379)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | デンプン / 老化 / リアルタイム |
Research Abstract |
本研究は,デンプンの老化度のリアルタイム測定法を開発することを目的としている.平成23年度は,デンプンの老化度の測定法についての検討を行った.試料には,各種デンプン(小麦,トウモロコシ,バレイショ,サツマイモ)および市販の白玉粉と上新粉を用いた.各種デンプンを1%または2%になるように加水後,オートクレーブで完全糊化させた試料を0時間とし,5℃で0~116時間保存し,経時的にサンプリングを行った.まず,試料にβアミラーゼを加えて,グルコースに分解されなかったデンプンをヨウ素液と反応させ,600nmにおける吸光度を測定した.さらに,レジスタントスターチ(難消化性デンプン)を指標として,老化の程度を測定した.これらの結果と近赤外分光法(波長領域300~1700nm)および赤外分光法(波長領域5.4~10.8μm)により測定したスペクトルを解析したデータと合わせて検討し,デンプンの老化を示していると推定される波長の検索を行った.その結果,比色法では,1105nmにおける二次微分値を解析することで,老化の程度を推定することが可能であることがわかった.また,近赤外分光法および赤外分光法では,地上デンプンは8.98μm,地下デンプンは8.26μmにおける二次微分値を解析することで,レジスタントスターチ量をある程度推定できることがわかった.このことから,波長強度が変化した部分がデンプンの老化を示す波長であると予測できるので,デンプンの老化のリアルタイム測定法に応用可能であることが示唆された.さらに,得られたデータを用い,デンプンおよびデンプン性食品の老化の進行をシミュレイトすることで,デンプン性食品のシェルフライフの決定に応用できればと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,デンプンの老化度のリアルタイム測定法を開発することを目的としている.平成23年度は,デンプンの老化度の測定法についての検討を行った.モデル実験として,各種デンプンを1%または2%になるように加水後,オートクレーブにより完全に糊化させたものを用いた.完全に糊化した試料を0時間とし,5℃において保存し経時的にサンプリングを行った。まず,ヨウ素デンプン反応の吸光度変化から,消化可能なデンプンと難消化性デンプンの割合を推定した。さらに,レジスタントスターチを指標としてデンプンの老化度の測定を行った.それらのデータと近赤外分光装置(波長領域300~1700nm)および赤外分光法(波長領域5.4~10.8μm)を用いてスペクトルの測定によって得られたデータを照合し,デンプンの老化と対応していると考えられる波長領域の検討を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究成果で得られた,デンプンの老化度を示している波長領域を再度確認を行うために,追試を実施し,デンプンの老化度のリアルタイム測定法に結び付けたいと考えている.波長領域の確認を行うことにより,これまでに得られたデータの検討を行う予定である.また,他の種類のデンプンやデンプン性食品においても平成23年度に行った方法とほぼ同様に測定したいと考えている.同時に,デンプンやデンプン性食品の保存条件の違いについても検討を加える予定である.さらに,デンプンやデンプン性食品の老化度を近赤外分光法および赤外分光法による非破壊測定法を行うことにより,様々な条件での測定データを蓄積し,デンプンの老化の程度を速度式を用いて解析し,リアルタイム測定法に応用したいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の研究費で,デンプンの老化度を非破壊で測定するための赤外分光装置(InfraSpec Variable Filter Array(VFA) IR 5.4~10.8μm,スペクトラ・コープ社製)を購入した.その結果,デンプンの老化度を測定するための波長領域が広まり,多くの情報が得られている.平成23年度に生じた残金は,当初購入を予定していた装置を物品費の中で変更および割引価格で購入することができたためである.平成23年度までに,研究に必要な設備はほぼ整ったので,次年度は,平成23年度の残金と合わせて,デンプンの老化の程度の測定に必要な試料費,試薬費を中心に使用する計画である.その他,実験補助者への謝礼金,文献複写費,学会誌投稿料に使用する予定である.
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Research Products
(1 results)