2012 Fiscal Year Research-status Report
デンプン及びデンプン性食品の老化度のリアルタイム測定法の開発
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23700886
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
岡本 由希 和洋女子大学, 生活科学系, 准教授 (20348379)
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Keywords | デンプン / 老化 / リアルタイム |
Research Abstract |
本研究は,デンプン及びデンプン性食品の老化度のリアルタイム測定法を開発することを目的としている.生デンプンに水を加えて加熱するとα化し,消化されやすいデンプンとなるが,冷えて時間が経過すると固くなり老化する.この老化度をリアルタイムで測定できれば,デンプン性食品のシェルフライフの決定に寄与できると考えている.これまで,ヨウ素液による比色法及びレジスタントスターチ(難消化性デンプン)量を測定し,デンプンの老化度を検討してきた.デンプンは完全に消化される消化性デンプンと消化されにくいレジスタントスターチに大別される.このレジスタントスターチを測定することで,老化度を検討しようと考えているが,レジスタントスターチの測定には時間を要するため,測定結果と近赤外分光法による測定で得られたスペクトルデータを検討し,リアルタイム測定に結びつけたいと考えている.試料には,引き続き各種デンプン(小麦,トウモロコシ,バレイショ,サツマイモ)及び市販の白玉粉と上新粉を用いている.各種デンプンを1%または2%になるように加水後,オートクレーブを用いて完全に糊化させた試料を0時間とし,同じ試料を5℃で保存し,経時的にサンプリングを行った.試料にアミラーゼを加えて,グルコースに分解されなかったデンプンをヨウ素液と反応させ,600nmにおける吸光度を測定した.さらに,レジスタントスターチを指標として,老化の程度を測定した.平成24年度は,前年度の結果の再現性を中心に検討したが,ばらつきが生じたため,本研究の目的の一つであるデンプン性食品のデンプンの老化の測定に応用できる波長を完全に決定するまで至らなかった.次年度は,これまでに得られた結果を踏まえ,データをさらに蓄積し,デンプンおよびデンプン性食品の老化の進行をシミュレイトすることで,デンプン性食品のシェルフライフの決定に応用できればと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,デンプンの老化度のリアルタイム測定法を開発することを目的としている.平成23年度は,デンプンの老化度の測定法についての検討を行った.モデル実験として,各種デンプンを1%または2%になるように加水後,オートクレーブにより完全に糊化させたものを用いた.完全に糊化した試料を0時間とし,5℃において保存し経時的にサンプリングを行った。まず,ヨウ素デンプン反応の吸光度変化から,消化可能なデンプンと難消化性デンプンの割合を推定した。さらに,レジスタントスターチを指標としてデンプンの老化度の測定を行った.それらのデータと近赤外分光装置(波長領域300~1700nm)および赤外分光法(波長領域5.4~10.8μm)を用いてスペクトルの測定によって得られたデータを照合し,デンプンの老化と対応していると考えられる波長領域の検討を行ったが,さらに再現性について確認する必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により得られた,デンプンの老化度を示している波長領域を再度確認するために,追試を実施し,デンプンの老化度のリアルタイム測定法に結び付けたいと考えている.派長領域を確認することにより,これまでに得られたデータの再現性についての確認を行う.また,他の種類のデンプンやデンプン性食品においてもこれまでに行った方法とほぼ同様に測定したいと考えている.同時に,デンプンやデンプン性食品の保存条件の違いについても検討を加える予定である.さらに,デンプンやデンプン性食品の老化度を近赤外分光法および赤外分光法による非破壊測定法を行うことにより,様々な条件での測定データを蓄積し,デンプンの老化の程度を速度式を用いて解析し,リアルタイム測定法に応用したいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究費で,デンプンの老化度を非破壊で測定するための赤外分光装置(InfraSpec Variable Filter Array(VFA) IR 5.4~10.8μm,スペクトラ・コープ社製)を購入した.その結果,デンプンの老化度を測定するための波長領域が広まり,多くの情報が得られている.補助期間の延長期間である平成25年度は,平成24年度の残金と合わせて,実験用試料や試薬の経費,測定装置の消耗品の経費,成果発表のための経費等に充てる計画である.
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