2011 Fiscal Year Research-status Report
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23700889
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
山崎 貴子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60318574)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 食肉軟化 / マイタケ / 高齢者 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、良質なタンパク質源ではあるが硬さ・噛み切りにくさのために高齢者にとって食べにくい食肉をマイタケプロテアーゼの利用により、軟らかく食べやすくする調理方法の開発である。本年度は、科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金(若手研究(B))、H23-26年度)に関わる研究の初年度であった。 初年度の目標は基礎的なデータ収集とし、用いるマイタケ抽出液の濃度や調理の際の調味料(塩添加)の影響について検討した。すなわち、段階的に希釈または食塩を添加したマイタケ抽出液のプロテアーゼ活性および調理後の肉の破断応力を測定した。肉の調理方法は先行研究と同様、マイタケ抽出液と共に真空パック後70℃で2時間加熱とした。その結果、プロテアーゼ活性はマイタケ抽出液の濃度と比例するが、肉の破断応力は、濃度に依存するものの3-6倍希釈の範囲では水を用いた場合の約43-46%とほとんど変わらなかった。また、食塩は1-2%の添加ではマイタケプロテアーゼの活性を阻害しないことが明らかとなった。この結果は、今後様々な調理方法を試す上で、用いるマイタケの活性レベルや調味料を考慮するための基礎データとして参考となるものである。 一方、高齢者施設において提供されている食事の物性、残食量、高齢者への聞き取り調査等の結果について解析した結果、肉料理は魚料理や野菜料理に比べ、喫食嗜好と咀嚼力との関連が高いことがわかった。施設で提供している料理の硬さは50,000 N/m2付近のものが多く、身体的に自立した高齢者では、普段から食べなれているもの、味が好きなものは比較的硬くても好んで喫食し、残食も少ない傾向にあった。高齢者の実際の食事状況を把握することは、目的遂行に向けて意義のあることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した初年度の計画通りほぼ実施できている。すなわち、マイタケ抽出液の濃度および塩添加の影響について調べ、高齢者施設で調査した食事の物性や高齢者の咀嚼力等の関係の解析についてもほぼ解析済みである(上記「研究実績の概要」参照)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マイタケプロテアーゼを肉に作用させる方法や時間、加熱方法、加熱温度、加熱時間など具体的な調理方法を中心にさらに検討する。特に、これまでのマイタケ抽出液と共に真空パック加熱する方法では、肉はやわらかくなるものの、肉の表面が過度に分解され、マイタケ抽出液の濃度を低くしたり処理時間を短くしたりしても、肉の表面に少なからずべたつきが生じたことから、改善に向けて別の処理方法を含め検討する必要がある。例えば、肉表面にはマイタケ液を触れさせないように注射針で肉中心部に液を挿入する方法が考えられる。24年度は様々な調理法を試し、その中から物性および官能評価にて比較的評価が高いと思われる処理方法・加熱方法を模索する。 さらに、高齢者施設において提供されている肉料理の物性のデータを補足する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に試料等の消耗品の購入および謝金に用いる。謝金は調理・実験補助および官能評価の被験者、高齢者施設への試料提供に対して支払う。
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Research Products
(1 results)