2012 Fiscal Year Research-status Report
鉄欠乏性貧血の改善を目指した鉄分強化豆腐の加工法の確立
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23700894
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Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
有井 康博 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 講師 (60360484)
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Keywords | 鉄分強化 / 豆腐 / 貧血改善 / 新規栄養機能食品 |
Research Abstract |
本研究の目的は鉄摂取不足を改善するために鉄強化食品を開発することにあり、その対象食品として豆腐を選択した。豆腐の加工には金属イオンの添加が引き起こす大豆タンパク質の凝集が利用される。本研究では凝集に用いた金属イオンが豆腐内に保持されることに着目し、第一鉄(二価陽)イオンの摂取に役立つ豆腐(鉄分強化豆腐)を開発する。鉄分強化豆腐の開発は様々な鉄欠乏性疾患の改善に役立つ新規栄養機能性食品として期待している。つまり、従来の豆腐加工法を応用し、鉄が強化された豆腐様の食品を開発する方法を確立すること、その効果の有無を示すことを目指している。 平成24年度においては、以下のことを行った。塩化マグネシウムを用いた試験管レベルの研究において、鉄強化豆腐を加工するために必要な豆腐形成の機構を明らかにした(学術論文、学会発表参照)。豆腐形成機構を明らかにすることで、上述の鉄強化豆腐の開発において生じる問題に、実験的裏付けのある方策を取ることが可能となる。また、豆乳に様々な金属イオンを加えることで、豆腐様の沈殿が生じること、その沈殿が濃度依存的に物性変化することを明らかにした(論文投稿中、特許出願中)。各金属イオンによる豆腐様沈殿の形成の差異を確かめることは、本申請課題の核となるポイントである。さらに、鉄強化豆腐を食品レベルで加工する方法を確立し、その豆腐が鉄強化されていること(学会発表参照)、その物性が通常の豆腐とほぼ変わらぬ硬さであることが分った(学会発表参照)。この結果は、食品レベルの加工が可能であることを示している。これらのことから、鉄強化豆腐様食品の加工法の確立できた。今後は、その効果を調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題の2年目の達成目標は鉄強化豆腐の加工法の確立、鉄濃度の測定法の確立、動物実験の開始であった。2年目が終了した時点で、1年目の積み残しであった物性測定を含め、加工法の確立、鉄濃度の測定を実施することができ、動物実験の準備等が整いつつある。故に、おおむね順調であると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては、鉄強化豆腐の利用による鉄吸収への効果の有無を明らかにする。また、二価鉄の保存性など、実用化を視野に流通に不可欠な実験データを収集する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は確立した加工法で鉄分強化豆腐を加工し、鉄欠乏性貧血モデルラットに食餌として与え、その貧血症状が改善されることを確認する。すなわち、鉄欠乏性貧血モデルラットに鉄分強化豆腐を食餌として与えた場合と従来の豆腐を食餌として与えた場合における、全血中のヘモグロビン、赤血球数、ヘマトクリット、および鉄の数値を比較し、鉄分強化豆腐の摂取が貧血の改善に役立つことを確認する。 また、健常ラットに鉄分強化豆腐を与え、鉄過剰摂取による続発性ヘモクロトーシスが発症しないことを確認する。
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Research Products
(12 results)