2011 Fiscal Year Research-status Report
ESRスピントラップ法を活用した複数活性酸素種に対する食品の抗酸化能評価法の開発
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23700897
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
亀谷 宏美 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品安全研究領域, 任期付研究員 (20585955)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 ロシア / 電子スピン共鳴分光 / 抗酸化能 / 機能性 |
Research Abstract |
本研究課題の最終目的は、ESRスピントラップ法により複数の活性酸素種に対する食品の抗酸化能評価法を確立することである。平成23年度の具体的な研究内容は、スピントラップ剤CYPMPOを用いたESRスピントラップ法の開発のため、6種の活性酸素種の発生系およびESR測定条件(測定パラメータ)の検討を行った。各活性酸素種の発生系は次のようになった。スーパーオキシドラジカルはリボフラビンに波長500~600nmの可視光を60秒照射して発生させた。アルコキシラジカルはAAPHに、ヒドロキシラジカルは過酸化水素に、一重項酸素はPterineに、過酸化ラジカルはtert-ブチルヒドロペルオキシドに、アルキルラジカルはDMSOを含む過酸化水素に、それぞれ波長300~400nmの紫外線を5秒照射して発生させた。全ての発生系について、発生試薬の濃度、光照射時間から最も観測されるアダクトの量が多い条件を求めた。本年度の研究成果によって、6種の活性酸素種全てについて、簡易で再現性の高い光照射発生系を開発することができた。また、スピントラップ剤と活性酸素種によって生成されるアダクト観測に最適なESR機器の磁場範囲、マイクロ波強度、磁場変調の測定パラメータについて検討した。その結果、全てのアダクトについて共通の測定パラメータを得ることに成功した。以上、全ての活性酸素種について、同一計測機器を用い、光反応によって活性酸素種を発生、同一測定パラメータによって計測可能にしたことは、食品の抗酸化能評価法として広く世間に利用されるために不可欠のことであり、非常に重要な成果であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、5種の活性酸素種について研究を進めていたが、新たにアルキルラジカルを加えた6種の活性酸素種について検討を行うことができた。また、発生系の情報収集を行う過程で、24年度の研究計画である各活性酸素種を特異的に消去する標準物質についての有益な情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ESRスピントラップ法で求めた抗酸化能力は、スーパーオキシドラジカルをSODユニットとして評価するように、標準物質濃度として表される。標準物質には他にTrolox、GSHなどがあり、それぞれ消去することができる活性酸素種が異なる。ESRスピントラップ法では基準となる標準物質が明確に定められていない。そこで、23年度に確立した6種の活性酸素種について、特異的に消去する物質を検討し、個々の活性酸素種ごとに標準物質を選択する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ESRに関する国際学会(ICMRBS)に参加し、解析についての情報を収集する。23年度に確立した活性酸素種の測定に関する試薬、次年度に行う各活性酸素種を特異的に消去する標準物質を購入する。得られた成果は逐次論文発表するため、英文校閲、投稿料に研究費を使用する。本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画どおり使用する。なお、次年度使用額286,825円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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