2012 Fiscal Year Research-status Report
ESRスピントラップ法を活用した複数活性酸素種に対する食品の抗酸化能評価法の開発
Project/Area Number |
23700897
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
亀谷 宏美 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品安全研究領域, 主任研究員 (20585955)
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Keywords | 国際情報交流 ロシア / 電子スピン共鳴分光 / 抗酸化能 / 機能性 |
Research Abstract |
本研究課題の最終目的は、ESRスピントラップ法により複数の活性酸素種に対する食品の抗酸化能評価法を確立することである。平成24年度の具体的な研究内容は、各活性酸素種を特異的に消去する物質を各々の抗酸化能力を表す標準物質として選択し、確立した方法で食品を測定が可能であるかを検討した。 ESR スピントラップ法で求めた抗酸化能力は、スーパーオキシドラジカルをSOD ユニットとして評価するように、標準物質当量として表される。標準物質には他にTrolox、GSH などがあり、それぞれ消去することができる活性酸素種が異なる。また、確立した本計測法は活性酸素種発生系に紫外光 (UV系) を用いているため、UVによって分解することがない標準物質を選択した。スーパーオキシドラジカルと一重項酸素はGSH (Glutathione)、アルコキシラジカルはTrolox (6-Hydroxy-2,5,7,8-tetrametylchroman-2-carboxylic acid)、ヒドロキシラジカルはマンニトール (mannitol)、過酸化ラジカルはαリポ酸 (α-lipoic acid)、アルキルラジカルはCYPMPO (2-(5,5-Dimethyl-2-oxo-2λ5-[1,3,2]dioxaphosphinan-2-yl)-2-methyl-3,4-dihydro-2H-pyrrole 1-oxide) が本計測法に適していることを確認し、6種の活性酸素種すべてについて、抗酸化能力を表す標準物質を選択することができた。 以上、抗酸化能を評価するために不可欠である標準物質について、全ての活性酸素種に適した物質を選択し、実際に食品の抗酸化能計測及び評価を可能にしたことは、食品の抗酸化能評価法として広く世間に利用されるために不可欠のことであり、非常に重要な成果であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、6種の活性酸素種について、それぞれ適した標準物質を選択することができた。さらに、実際の食品をサンプルとして本計測方法を試みたところ、6種の活性酸素種に対する抗酸化能を評価することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したESRスピントラップ法を用いて、成分が異なる様々な食品が有する抗酸化能力を複数の活性酸素種に対する能力として評価する。さらに、同じ食品をORAC 法で測定し、開発した手法から得られた各抗酸化力との相関を求める。相関関係が得られない場合、食品成分から要因を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ESRに関する国際学会(APNMR)およびロシアにあるESRを開発した研究所(Zavoisky研究所)へ参加し、解析についての情報を収集する。 本計測法に関する種々の試薬、次年度に行うORAC法に関する試薬、食品成分分析に関する試薬を購入する。 得られた成果は逐次論文発表するため、英文校閲、投稿料に研究費を使用する。 本研究課題推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画通り使用する。
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