2011 Fiscal Year Research-status Report
小児白血病患者の化学療法中に生じる味覚変化が栄養状態に及ぼす影響
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23700903
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
永井 亜矢子 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教 (90551309)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 小児白血病 / 化学療法 / 味覚変化 |
Research Abstract |
本研究では化学療法中の小児白血病患者で生じる味覚変化の発生頻度や程度を明らかにするため、味覚検査を実施するが、小児用味覚検査法として公的に認められているものは見当たらない。よって、成人を対象に臨床で広く使用されている濾紙ディスク法(テーストディスク@(株)三和化学)を用いて、耳鼻科系疾患を持たない健常な小中学生40名(男性19名、女性21名、8~15歳)を対象とし、味覚閾値を把握した。健常小児の味覚閾値は、患児の味覚閾値と比較するのに用いる。 当初、入院化学療法中の小児白血病患者を対象としていたが、小児白血病は小児がんにおいては高頻度であるもののがん全体の1%未満にすぎず、さらに味覚検査は7歳以上でなければ回答が難しいため、対象となり得る症例そのものが少ない。また、入院治療中は保護者や患者本人における治療、検査や疾患に対する不安感が大きく、調査協力を求めるのは非常に困難である。そのため、平成23年度は外来化学療法中あるいは化学療法終了後の小児白血病患者18名を対象とし、味覚閾値や味覚変化の自覚症状の有無等を調査した。その結果、外来治療中のみならず、治療終了後数ヶ月経過した例においても味覚低下が見られた。さらに、味覚変化の自覚症状のない症例においても味覚低下は認められ、従来、患児の自発的な報告によって判明することが多い味覚低下を閾値にて示すことができた。また、味覚低下者に肥満ややせは見られなかった。 近年、長期生存が可能となった小児がん患者において晩期障害が懸念されている。低年齢での味覚低下の長期継続は塩分過多の食習慣にもつながり、将来の高血圧症発症の助長ともなり得る。1年以上に及ぶ外来治療中やその後の経過観察中における味覚低下の発生状況を把握することは、好ましくない食習慣や将来の生活習慣病の予防に重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では化学療法中の小児白血病患者で生じる味覚変化の発生頻度や程度を明らかにするため、味覚検査を実施する。しかし、小児用味覚検査法として手技が統一しているものはないため、成人で使用されている濾紙ディスク法を用いて、まず、健常児での基準作成を行うこととした。平成23年度は健常な中学生での味覚検査のみを予定していたが、平成24年度で予定していた小学生での検査も併せて実施し、当初の計画以上に進展している。ただ、全対象数は40名と少ないことから、平成24年度は対象数を増やす予定である。 次に化学療法中の小児白血病患者における味覚変化については、当初入院患者での調査を進めていたが、数例実施した時点で対象集めに困難が生じ、外来患者での調査に変更したため、やや遅れている。今後、外来治療中及び経過観察中の患者を対象に例数を増やし、味覚変化の発生頻度と程度を明らかにする。また、平成25年度のデータ収集期間を年度の前半から2/3に増やし、対象者集めに努める。
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Strategy for Future Research Activity |
小児白血病患者における味覚変化について、当初入院患者での研究を進めていたが、対象集めに困難が生じたため、外来患者へと変更した。今後は外来治療中及び経過観察中の患者を対象とし、例数を増やす。本研究は小児白血病患者を対象としており、母集団そのものが少ない。そのため、本研究を遂行する上での課題は対象集めであり、H24年度は現在2ヶ所である協力施設をさらに増やし、協力者を募ることとする。また、経過観察中の患者は夏休みや冬休みに来院数が増えることから、その時期に集中的に検査を実施する。外来治療中の患児において味覚低下が認められた者は、定期的に味覚閾値を測定し、その変動をみることで味覚低下の持続期間を確認する。主な調査項目のうち、血液生化学検査値、身体計測値、副作用(嘔吐、下痢、口内炎、食欲不振、味覚変化等)の有無はカルテや記録等から拾う。さらに、味覚検査、唾液検査、食習慣に関するアンケートを実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
化学療法中に体内で生じる大量の活性酸素により悪化する有害事象に対し、抗酸化剤の使用が有用だと言われている。このことから、唾液中の過酸化物質を測定する。さらに味覚へ影響を与えると考えられる血清微量元素やホルモンを測定する。平成23年度に行った小児白血病患者を対象とした研究は予備研究であり、過酸化物質や微量元素の測定を実施するに至らず、研究費の持ち越しが生じた。持ち越した研究費は主に、平成24年度に味覚閾値を測定する対象者の過酸化物質、血清微量元素やホルモンの分析費用に充てる。味覚検査は痛みを伴わず、対象者に侵襲は与えないが、検査前の飲食制限といった負担がある。そのため、協力者への謝金を検討している。患児の基礎データはカルテから拾うことになり、個人情報の保護という観点から、協力施設に直接足を運びデータを収集する。膨大な情報から必要なデータのみを拾うため、申請者と共に調査補助員が作業にあたる。収集したデータはその場でモバイルパソコンに入力し、パスワードでロックをかけ、個人情報の保護に努める。そして、患児の味覚閾値との比較に用いるため、昨年度に引続き健常児において味覚検査を行い、例数を増やす。健常児の味覚検査は、放課後の限られた時間内に行わなければならず、スムーズな検査実施のために検査補助員を必要とする。さらに、日本人の約15%に認められる味盲では、味覚感度が低いとの報告があるが定かではないため、資料データとして、味盲の味覚閾値について調べる。 モバイルパソコン(調査用):200千円、過酸化物質、血清微量元素、ホルモン分析費:418千円、味覚検査用試薬:420千円、 味盲検査:300千円、調査協力謝金:40千円、調査及び検査補助謝金:0.8千円×300時間=240千円、調査旅費:202千円
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Research Products
(8 results)