2012 Fiscal Year Annual Research Report
過食で増加する規格外遺伝子の同定と生活習慣病における役割解明
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23700906
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原田 永勝 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (40359914)
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Keywords | ナンセンス型mRNA / マーカー遺伝子 / 肥満 / 食生活 / NMD機構 / SREBP1delta / ストレス応答 / 品質管理 |
Research Abstract |
本研究では、過食による肥満マウスにおける規格外遺伝子(異所性翻訳停止コドンを有するナンセンス型mRNA)の発現量とその制御機構(NMD機構)の役割を検討した。平成23年度の研究で、肥満マウスの腎臓および褐色脂肪組織でTmem183AおよびNktr遺伝子、肝臓でIntersectin遺伝子のナンセンス型mRNA発現量が増加することを明らかにした。平成24年度の解析では、肝臓でTmem183AおよびNktr遺伝子のナンセンス型mRNA発現量は増加しなかった。他のマーカー遺伝子Flot1の発現も同様で、肥満の肝臓ではナンセンス型mRNA発現量は基本的には増加せず、Intersectin遺伝子の結果はNMD機構に依存しない可能性が示唆された。このことから、平成23年度の研究でみられた肥満マウス組織におけるストレス応答因子eIF2alphaのリン酸化亢進は、単独ではナンセンス型mRNA発現量増加に至らない可能性が示唆された。今回、Tmem183AおよびNktr遺伝子のタンパク質を解析した。Nktrのナンセンス型mRNAは、正規タンパク質の7%のアミノ酸鎖長であるが101アミノ酸をコードし、リン酸化やATP/GTP結合モチーフを一部保持するものであった。Tmem183Aのナンセンス型mRNA由来タンパク質は、正規タンパク質の63%のアミノ酸鎖を保持し且つ膜貫通領域を欠く新しい変異タンパク質であった。一方、ヒト組織で発見した規格外遺伝子SREBP1deltaのナンセンス型mRNA発現の増加が構成的活性型タンパク質を産生し脂質合成酵素GPAT1の発現を高めることを見出したが、SREBP1deltaはマウスには発現しないヒト特異的な規格外遺伝子であることがわかった。以上、本研究では過食性肥満の一部の組織でナンセンス型mRNA発現が増加し、生活習慣病の病態形成に寄与する可能性を示唆した。
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