2011 Fiscal Year Research-status Report
大豆イソフラボンの卵巣摘出による認知機能低下抑制の分子機序の解明
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23700910
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
趙 娟 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20381890)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 大豆イソフラボン / 更年期 / 認知機能 |
Research Abstract |
大豆イソフラボンは、ラットの卵巣摘出による認知機能低下を抑制することが示されているが、その効果発現機序には、不明な点が多く残されている。我々はこれまで、マウスにおいてイソフラボンが知覚神経のカルシトニン遺伝子関連ペプチッド(CGRP)の産生を増加させることで、認知機能改善作用を有するインスリン様成長因子-1(IGF-1)産生を促進することを明らかにした。そこで、研究代表者は、大豆イソフラボン類が、卵巣摘出による認知機能低下をIGF-Iの産生を増加させることで改善するか否かを検討することを目的とした。平成23年度は、卵巣摘出マウスに、大豆イソフラブン配糖体類、または大豆イソフラブンアグリコン類の混合飼料を投与し、モーリス水迷路試験を用いて空間認知機能の評価を行った。卵巣摘出マウスでは、対照群と比べて空間認知機能の低下が認められた。大豆イソフラブン配糖体類、または大豆イソフラブンアグリコン類のそれぞれ投与により、卵巣摘出マウスでの空間認知機能低下が抑制され、対照の正常群に近づく結果となった。しかし、通常マウスに両種類の大豆イソフラボン類を投与しても、認知機能への影響が認められなかった。海馬IGF-I、CGRP濃度、および海馬神経細胞の新生に対する影響については次年度以後で検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
情報収集のため、実験の開始は遅れた。 動物モデルの作製や動物実験が順調に進めたが、採集されたサンプルの測定が遅れた。その理由はIGF-I濃度の測定方法の再確認のために時間がかかったためである。海馬IGF-I濃度をより正確的に測定するために、より感度が良いELISA kitを用いることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は大豆イソフラボン配糖体類、および大豆イソフラボンアグリコン類の投与により卵巣摘出マウスでの認知機能低下が抑制されることを確認できた。以上の結果をふまえ次年度の研究期間内に次の点を明らかにしたい。(1) イソフラボン類投与により海馬CGRP、IGF-1濃度への影響を検討する。(2) イソフラボン類投与により、本モデルにおいて、IGF-1 の有する海馬神経新生促進作用を確認する。(3) CGRP ノックアウトマウスを用いて、イソフラボンの治療効果が消失するか否かを解析する。 これらの結果を基に、更年期後認知機能低下におけるIGF-1 の役割とイソフラボンによる更年期後認知機能低下を抑制する機序を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の研究計画において、卵巣摘出マウスモデル作成のためのマウスの購入、イソフラボンを含む飼料の購入、IGF-1 濃度、CGRP 濃度、及びIGF-1 mRNA レベルの測定に用いるELISA kit、及び試薬などの購入、免疫組織染色抗体、及び免疫染色に用いる試薬などの消耗品購入のため申請した金額が必要であった。 しかし、実験開始前の情報収集、およびIGF-I濃度測定方法再確認のため、実験プロジェクトの進行が遅れた。平成24年度の研究計画において、免疫染色、IGF-I濃度、CGRP濃度の測定を加えて、前年度と同じような消耗品購入以外に、CGRP ノックアウトマウスの繁殖と維持のため、申請した金額が必要である。
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