2011 Fiscal Year Research-status Report
授乳中母子の食生活パターンが母の育児ストレスと子の食行動発達に及ぼす影響
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23700911
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
廣瀬 潤子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (40381917)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 母乳 / 行動調査 / アクチグラフ / 夜間授乳 / 授乳 / 育児 / 睡眠 / ストレス |
Research Abstract |
授乳期の母親にとって夜間授乳の実施は、睡眠不足やストレスなどで大きな負担となっていると考えられる。本研究では、母親と児の夜間授乳を含む生活リズムが、どのような状態にあれば母乳育児の負担感を軽減することができるかを明らかにすることを目的とした。本年度は、母親夜間は授乳に関してどのような情報を得ているかを調査し、次年度に実施する母児の行動調査に使用するアクチグラフの予備実験を実施した。1、夜間授乳に関する情報源についてインターネット検索サイトで母乳育児に関してされた質問の中で、薬・予防接種について、授乳服についてに続き、夜間授乳に関する質問が3番目に多くなされていた。その原因として、現在発行されている育児書籍中(68冊)において、夜間授乳に関する記述は4割が明確な記載なく、2割は「乳児に任せる」と記載されていた。また、専門家向けの書籍にも夜間授乳について21.4%が必要、7.1%が不要としており、記載なしが67.9%あり、母乳栄養指導を行う指導者側によって指導が異なることが推測された。2、アクチグラフについて成人女性によるアクチグラフによる行動計測では、行動記録調査票による消費エネルギー量より2割程度低く見積もられたが、両者の行動スケールはよく対応しており、就寝時間帯の行動調査はアクチグラフがより詳細な解析が可能であった。特に、児の睡眠・覚醒の調査には母親による調査票の記載よりもアクチグラフが有効だと考えられる。また、行動記録調査票は行動分類を8項目に大別しても詳細記録と同じ消費エネルギー量となったことから、簡易記録票にすることで被験者である母親の調査負担を軽くすることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
母親夜間は授乳に関してどのような情報を得ているかを調査し、次年度に実施する母児の行動調査に使用するアクチグラフの予備実験を実施し、ほぼ事前の計画通りに研究が遂行されていると考えられる。母親は授乳とりわけ夜間授乳に関する情報を得ていないことが不安になっていると考えられ、エビデンスに基づいた夜間授乳に関する情報を至急提供することが望ましいと考えられた。各アンケートなどを作成し、滋賀県立大学研究に関する倫理審査委員会の承認を受けた。すでに共同研究先である助産院との研究実施方法についても打ち合わせが完了しており、被験者の募集を開始できる状況になった。調査の詳細を打ち合わせでは、協力いただく被験者への負担感が減少できるアンケートの作成や児のアクチグラフでの測定について測定器装着部位等のご提案をいただいている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに予備調査が実施され、授乳中の母親への負担ができるだけ少ない方法で行動観察が実施できる状況にある。また、共同研究先の助産院との連携はすでに始められており、24年度は、20組程度の授乳中母子に被験者としてご協力願う予定である。24年度はとくに、食事のタイミング(乳児にとっては授乳時間、離乳食の開始前後や母親や家族の食事時間)について注目し、アクチグラフと行動記録票を用いて調査する。また、母親の不安感の高かった乳児の夜間の行動と授乳状況についても詳細に調査する。調査は離乳食の開始前後に2回の調査(1回あたり72時間の連続計測で、行動の違う休日等を間に挟むように実施の予定)を実施し、児の食行動の変化と授乳行動の関係について検討する。また、母親の育児ストレス状態については、2回の調査とも、これまでにも使用実績のあるPSI育児ストレスインデックスを使用する。25年度には、さらに被験者を増やすとともに、24年度の解析で、明らかになった事柄についてより詳細な解析が可能となるように被験者の選択を行う必要も出てくると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題ではアクチグラフでの計測によって、母子の行動が詳細に観察できることが最も重要なポイントとなっていることから、アクチグラフは必要不可欠な機器となる。すでに23年度に予備調査を行っており、4組分(計8台)と解析用ソフトは取得済みである。しかしながら、1回の計測で休日等を含む72時間の連続着用を実施し、被験者への機器輸送及び返却等の時間も考慮すると、1組1回の実施で10日前後の日数がかかると考えられる。できるだけ多くの被験者に参加していただき、精度を上げることを目指すことから、あと3組分の購入(70万円)を計画している。その他の物品費としては、アンケート等の印刷用品、輸送用品、同時複数の解析のPC等(30万円)が考えられる。旅費としては、被験者の募集や説明、共同研究先助産院との打ち合わせ20回程度、研究状況によっては、24年度に1回の学会発表を行う予定である。謝金は、被験者への謝金および共同研究先助産院への被験者の募集等に関する謝金を支払う予定である。
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