2012 Fiscal Year Research-status Report
果物・野菜による食物アレルギーと唾液中の生理活性物質との関連性の研究
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23700915
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
新田 陽子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (70403318)
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Keywords | 唾液 / ヒスタミン / イチゴ / 口腔アレルギー症候群 / アレルゲン |
Research Abstract |
唾液中のヒスタミンを定量する方法について、LCMSMSを用いて定量する方法を確立した。そこで、口腔アレルギー症候群の被験者(A)と健常者の被験者(B)に同じ環境の下、唾液を採取し、そのヒスタミン量を測定した。普段の生活の中では、両者間で唾液中のヒスタミン濃度に違いが見られなかった。口腔アレルギーを発症する果物を違和感が生じる程度の量だけ食べてもらい、その後の唾液中ヒスタミン量を測定したところ、被験者(A)では口腔内に違和感があるときの唾液中ヒスタミン量が増加したが、被験者(B)では増加しなかった。複数回同じ実験を行ったところ、ほぼ同様の結果が得られた。このことから、口腔内に違和感が生じるような環境で口腔アレルギーを有する群と、有さない群とでの唾液中ヒスタミン量を調べることで、両者の違いが現れる可能性が示唆された。今後は被験者を増やして上記の内容を調べる必要がある。 口腔アレルギーの原因物質の性質を調べる目的で、イチゴのアレルゲンであるFra a 1タンパク質について、組み換え体タンパク質の立体構造を調べた。タンパク質の精製は購入した低圧クロマトグラフィーを用いて行い、精製した試料を真空CDで調べた。真空CDから予測された二次構造の数や位置は、NMRですでに決定された構造とほぼ一致していた。さらにその試料を加熱し、60℃以上にしてから冷却すると、不可逆的な構造変化が見られた。その構造変化が、エピトープ付近であったことから、加熱によってアレルゲンのIgE結合能が変化する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
唾液ヒスタミン定量法を確立し、被験者を募り、唾液中のヒスタミンを測定することができたため。口腔アレルギー症候群の原因物質(抗原)の性質について新たな知見が得られたため。一方唾液ヒスタミン量の季節変動は被験者の束縛の程度が高いことや、日々の変動が大きいため、季節による変動をみるのは困難と考え、実施しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度より研究代表者が異動となり、LCMSMSの使用が困難となったため、口腔アレルギー症候群の原因物質(抗原)の性質を調べることを中心に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
口腔アレルギー症候群の原因物質(抗原)として、イチゴのFra a 1タンパク質を用いて実験を行う。真空CD測定により、60℃以上に加熱することによりFra a 1タンパク質の不可逆的変化がみられたので、その変化と抗原としての能力との関係について調べる。加熱処理後のFra a 1タンパク質のIgEとの結合能や、イチゴそのものを60℃以上に加熱した場合の様子についても調べる。
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Research Products
(4 results)