2011 Fiscal Year Research-status Report
12/15-リポキシゲナーゼ阻害をターゲットとした食品による動脈硬化症予防の研究
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23700916
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
川上 祐生 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (30453202)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | リポキシゲナーゼ / 動脈硬化 / 食品 |
Research Abstract |
酸化修飾を受けた低密度リポタンパク質(LDL)はアテローム性動脈硬化発症の直接的な原因となり、その修飾過程に12/15-リポキシゲナーゼが重要な役割を果たしていることが知られている。したがって、12/15-リポキシゲナーゼの働きを制御することができればLDLの酸化が抑制され、動脈硬化発症予防の可能性が期待される。本研究では、新たに中国茶に含まれる12/15-リポキシゲナーゼを阻害する新規成分を同定することを目的に研究を行った。なお、12/15-リポキシゲナーゼとは白血球型12-リポキシゲナーゼと15-リポキシゲナーゼ-1の総称であり、本研究では白血球型12-リポキシゲナーゼを主な酵素源として用いて研究を行った。本年度は、13種類の中国茶を50%エタノールにて抽出し、それぞれ白血球型12-リポキシゲナーゼ活性阻害を検討したところ、7種類の中国茶が50%阻害濃度(IC50)20μg/ml以下という比較的低い濃度で阻害した。特徴的な茶成分であるカテキン類は、本酵素を阻害することが知られているため、IC50が20 μg/ml以下の7種類のうちカテキン含量の低い中国茶Hに焦点をしぼって研究を進めた。この中国茶Hの50%エタノール抽出物をさらに酢酸エチルにて抽出し、30%メタノールに再溶解した画分をHPLCで分画したところ、白血球型12-リポキシゲナーゼを阻害する3つのピークを得た。白血球型12-リポキシゲナーゼを最も強く阻害したピーク1は、他のアラキドン酸代謝酵素も濃度依存的に阻害したが血小板型12-リポキシゲナーゼはほとんど阻害しなかった。今後は各ピークに含まれる化合物の構造解析を行うとともに、各化合物の生体への吸収代謝、細胞によるLDL酸化に対する効果を検討し、動脈硬化モデル動物を用いた研究につなげていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、数種類の中国茶の白血球型12-リポキシゲナーゼ活性阻害を検討し、その中からカテキン含量の比較的少ない中国茶に着目して研究を進めることができた。また、HPLCを用いた抽出物の分画により、中国茶に含まれる白血球型12-リポキシゲナーゼ阻害の活性成分同定につながる結果を得ることができた。さらに、中国茶に含まれる成分の酵素阻害特異性についても検討するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で焦点をあてたカテキン含量の比較的少ない中国茶について、12/15-リポキシゲナーゼを発現している細胞による脂質の酸化に対する影響を検討する。さらに、中国茶Hに含まれる活性成分の同定を行い、それらの生体への吸収代謝への影響などを検討するとともに、動脈硬化モデル動物を用いた研究を行っていくことで、動脈硬化発症予防を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、試薬やガラス、プラスチック器具に加えて、細胞実験のための消耗品、分析用および精製用カラム類、実験動物などに使用する予定である。また、本研究の成果発表のための国内旅費についても使用する予定である。
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