2013 Fiscal Year Annual Research Report
腸管マクロファージにおける腸管病原細菌に対する応答性の解析
Project/Area Number |
23700917
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
中田 和江 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (60411740)
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Keywords | 腸管マクロファージ / 腸管感染症 / 感染防御 / 組織特異性 |
Research Abstract |
腸管から侵入した細菌の除去は、マクロファージ系細胞が重要な役割を担うと考えられる。しかし、腸管の粘膜固有層に存在するマクロファージの異物識別応答機構の詳細は充分明らかにされていない。今年度は、腸管マクロファージから産生されるTNF-α、IL-12の誘導経路を明らかにすることを目的に腹腔マクロファージとの比較解析を行った。貪食率の高かったE. coli、V. parahaemolyticus、S. aureusでTNF-α、IL-12の産生が高かったことから、貪食阻害剤であるサイトカラシンD(CyD)を用いて産生されるサイトカインの変化について調べた。この結果、CyD添加により腸管マクロファージ、腹腔マクロファージともにTNF-α、IL-12産生は有意に減少し、特に腸管マクロファージのIL-12産生は殆ど認められなくなった。したがって、腸管マクロファージでは、特にIL-12産生に貪食が大きく関与していることが示唆された。また、TNF-αやIL-12産生に関与するシグナル伝達分子(CD14、TLR4、MyD88、p-IκBα)の発現をウェスタンブロッティング法により解析を行った。無刺激、LPS刺激、E. coli刺激の比較から、腸管マクロファージではLPS刺激によって、TLR4の発現が増加する傾向が見られたが、他の分子の変化は見られなかった。一方でE. coli刺激では全ての分子で発現が増加する傾向が認められた。したがって、腸管マクロファージでは菌体刺激によってLPSでは誘導されないシグナル経路が誘導される可能性が示唆された。本研究により、腸管マクロファージでは、腹腔マクロファージとは異なり、細胞膜上に異物識別に関与するレセプターの発現は低いが、貪食によって細胞内で異物を識別し、排除のための応答を誘導している可能性が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)