2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700918
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
西田 由香 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (40435053)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 時間栄養学 / 摂食時刻 / 糖質代謝 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
【目的】近年,ライフスタイルの多様化により,食事内容や摂食時刻が多岐にわたっている。不規則な生活習慣によって生体リズムが減弱すると,正常な生理機能が乱れ体調不良や疾患の引き金となる。夜型の食生活は肥満や糖尿病などの生活習慣病を誘発することが知られている。そこで今年度は,非活動期の摂食習慣が生体に与える影響について,肝臓を中心とした糖代謝リズムについて動物実験により検討した。【方法】8週齢のWistar系雄ラット50匹を9時~21時を暗期とする明暗条件下で,コントロール群と夜食群に分けて飼育した。コントロール群は活動時間帯である暗期に3回均等に摂食させた。夜食群は1日の1/3量を非活動期の明期に摂食させ(以下「夜食」という),両群の食餌量は同一とした。3週間飼育後,空腹時の8時から4時間ごとに5回の解剖を行った。小腸と肝臓での代謝動態を明らかにするために門脈と肝静脈から同時採血を行い,肝臓や筋肉,内臓脂肪を採取した。血中のグルコースや中性脂肪,肝臓・筋肉グリコーゲンなどを測定し,糖質や脂質代謝の日内リズムを検討した。【結果および考察】体重と内臓脂肪量は摂取時刻の違いによる差が認められなかった。肝臓グリコーゲンは摂食によって増加し,その後低下する日内リズムを示したが,夜食摂取後の増加はほとんど認められなかった。また,夜食群では早朝空腹時の血中レプチンがコントロール群と比較して高い傾向を示したことから,夜食の摂取習慣が朝食欠食の一因になると考えられた。コントロール群の筋肉(ヒラメ筋)グリコーゲンは摂食によって段階的に増加したが,夜食摂取後の増加は認められなかった。また,夜食群の血中中性脂肪はすべての時間帯でコントロール群と比較して高値を示した。これらのことから,摂取する栄養量が同一でも摂食時刻の違いによって糖質・脂質代謝リズムに変化が生じることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットによる基礎研究を実施し、摂食時刻を変化させた場合の糖質・脂質代謝に関わる基礎的データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、予定より少ない実験動物(ラット)の匹数で実施し、基礎的かつ効率的な実験プロトコールとした。今後は、食餌の条件(量・質・時刻)のパターンを多様化させた幅広い実験を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験においては、1回あたりのラット数を多くし、様々な摂食時刻や食餌条件を設定する予定である。また、ヒト試験も開始し、摂食時刻の違いによる各種代謝の変化をさらに詳しく検討する予定である。
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Research Products
(8 results)