2014 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期の葉酸欠乏と過剰摂取による生活習慣病への影響
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23700920
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
金高 有里 酪農学園大学, 農食環境学群, 講師 (80420909)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | DOHaD / 葉酸 / 胎生期 / DNAマイクロアレイ / 組織学的検討 / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、胎児期の葉酸の過剰環境によって胎児および新生児の組織に起こる遺伝子発現の変化を検討し、出生後の生理学的・組織学的検討を行って葉酸の可能性を探ることを目的としている。 2群に分けたC57BL/6J系成熟雌マウスを雄マウスと交配させ、プラグの確認後、各群に組成の異なる飼料(①普通飼料CE-2 (Control:葉酸2㎎/㎏)、②葉酸過剰飼料(40mg/kg)を与え飼育した。プラグ確認日を妊娠0日とし、胎生18.5日目に各群の雌マウスより胎児を取り出し、性別判定、胎児数、胎児体重を測定後、速やかに肝臓、膵臓、および脳を取り出し、液体窒素にて凍結保存した。また組織検討のため、残りの胎児はホルマリン固定後切片を作製した。さらに、新生児(8・22日)のサンプルも採取した。胎児の肝臓と脳を用いたDNAアレイ解析の結果、動いていた遺伝子の結果からいくつかの候補遺伝子を絞り、PCRによる検討も行った。特にIns2、BDNF、IFNγ、HMGCS1遺伝子についてはmRNAレベルの差が認められた。 組織学的検討では、膵臓のインスリン染色を行った結果、胎生期および新生児期で葉酸過剰群の陽性細胞数の減弱の傾向が認められた。 さらに、葉酸欠乏環境との比較の重要性を見出したため、基礎飼料としてAIN93Gを用いた①普通飼料AIN-93G(Control:葉酸2㎎/㎏)②葉酸過剰飼料(40mg/kg)③葉酸欠乏飼料(0.007mg/kg)の3群の作製を行い、検討を続けた。 Ki-67 染色を行い、陽性細胞数(Labelling index:‰)を検討した結果、胎児の組織では肝臓・膵臓において葉酸過剰飼料群のlabelling indexが他の2群と比較して有意に高く、新生児では3群間に有意な差は認められなかった。母親の妊娠期の葉酸過剰摂取が胎生期の細胞増殖に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)