2011 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛代謝異常による難治性造血障害および高血圧発生メカニズムの解明
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23700928
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Research Institution | Aichi Gakusen University |
Principal Investigator |
許斐 亜紀 愛知学泉大学, 家政学部, 講師 (40529658)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 亜鉛 / エリスロポエチン / 難治性造血障害 |
Research Abstract |
本研究は遺伝子レベルでの亜鉛の作用を精査し、亜鉛代謝異常により発生する「難治性造血障害」および「亜鉛欠乏性高血圧」の新規治療法の開発を目指し,実験を行っている。本年度から来年度にかけては、「難治性造血障害」へのアプローチを主とする。これまでに、腎臓中のエリスロポエチン濃度を髄質と皮質に分けて測定した結果、亜鉛欠乏による影響が見られた。そこで本年度は、腎臓中のエリスロポエチンのmRNAを髄質と皮質に分けて測定した。亜鉛欠乏では、食餌摂取量が低下する。そのため、通常の動物実験のように対照群だけを設定した検討では、亜鉛欠乏による影響なのか、食餌摂取量の低下による影響なのかを明らかに出来ない。そこで、Pair-Fed群を設定し、検討している。腎臓皮質中のエリスロポエチンのmRNA量は、対照群とPair-Fed群との間には差は見られなかった。しかし、対照群と亜鉛欠乏群の間およびPair-Fed群と亜鉛対照群との間では有意な差が見られ、亜鉛欠乏によりエリスロポエチンの遺伝子発現量が大幅に減少していた。髄質中のエリスロポエチンのmRNA量は、皮質と同じく対照群とPair-Fed群との間に差は見られなった。しかし、対照群に比べ亜鉛欠乏群では減少する傾向が見られた。また、Pair-Fed群に比べ亜鉛欠乏群では有意に減少していた。これらの結果から、腎臓におけるエリスロポエチンのmRNA量は、亜鉛欠乏によって減少するが、食餌摂取量の減少では変化しないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は震災が起こり、研究費の分割支給および大規模な輪番停電が実施された。研究協力者の所属する大学が輪番停電の対象になり、研究に用いる機械の使用が困難になった。 また、震災後に研究費が3割減額されるとの通知を受け、大幅な研究計画の変更を行ない、当初予定してた亜鉛欠乏によって変化が見られたタンパク質の同定および追加分析ではなく、エリスロポエチンのmRNA発現について検討することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、これまでに腎臓中のエリスロポエチン濃度およびエリスロポエチンのmRNA発現に変化が見られたことから、腎臓中のタンパク質の変動等を精査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度は、腎臓中のタンパク質が亜鉛欠乏によってどのような影響を受けているかを検討する。 24年度の予算は、タンパク質分析に関わる試薬・消耗品および学会参加等に関する旅費に支出する予定である。
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