2012 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛代謝異常による難治性造血障害および高血圧発生メカニズムの解明
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23700928
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
許斐 亜紀 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師 (40529658)
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Keywords | 亜鉛 / 造血 |
Research Abstract |
現代の日本における健康問題として、低血圧を伴う貧血や高血圧が挙げられる。一方で、日本人の全世代を通して亜鉛の摂取不足という栄養問題が挙げられている。また、亜鉛の摂取不足では一般的に食事量の減少が生じる。そこで、本研究では、亜鉛欠乏と食事摂取量の制限の2つの要因が貧血もしくは高血圧にどのように影響を与えているのかを動物モデルを用いて検討している。 当該年度前半は、亜鉛がタンパク質の合成に重要な働きを持つ栄養素であるために、RT-PCR解析に一般的に用いられるhousekeeping-geneであるGapdhやActbの遺伝子発現量にどのような影響がみられるかを、ラットの腎臓を用いて検討することとした。また、total RNA量自体の変化についても検討した。Sprague-Dawley系雄性ラットを用いて、各群あたり10匹ずつになるように群別し、基準飼料であるAIN-93G飼料を与えた対照群(CON)、中等度亜鉛欠乏飼料(4.5 ppm Zn)を与えた亜鉛欠乏群(ZD)、pair-fed対照群(PF)とし、4週間飼育し、解剖時に腎臓を皮質と髄質に分けて採取したものを測定のサンプルとした。 Real-time PCRで分析したデータはGrubbs testで棄却検定を行った後、PLSDで群間比較を行なった。危険率は5%を有意とした。研究成果は国内外の学会で発表を行った。 また、造血に関連すると考えられる各種遺伝子のmRNA分析を行い、亜鉛欠乏および食餌摂取量の制限が与える影響について検討した。亜鉛欠乏と食餌摂取量の制限では遺伝子の発現自体に違いがあることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多種類の遺伝子のmRNA分析を行うことができた。これにより、亜鉛欠乏と食餌摂取量の制限によって造血に関与すると考えられる遺伝子が発現レベルでどのような違いがあるのかが明らかになった。 また、タンパク同定を行うスポット選定も行ったので、来年度の研究計画もスムーズに実行できる目途が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の実施計画は、平成23年度に得られた結果を基にして、タンパク質の同定を行う予定だったが、平成23年度の進度が当初の予定よりも遅れたため、当該年度の前半をリカバリにあてた。年度後半は当初の予定通りタンパク分析に関する作業を行った。 当該年度の後半はタンパク分析の準備を行い、分析を外注するためのスポット選定を行った。 平成25年度はタンパクのスポット分析を依頼し、解析を行う。並行して、亜鉛欠乏および食餌摂取量の制限が血圧調節機構にどのような影響を与えるのかを検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度が終了した時点で、一部の研究費を次年度に使用することにした。 平成25年度に継続してタンパク質の同定を行うため、外注費として使用する。
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