2012 Fiscal Year Research-status Report
胎児、乳児の神経新生における多価不飽和脂肪酸の機能
Project/Area Number |
23700929
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
宮澤 大介 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (70434553)
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Keywords | 多価不飽和脂肪酸 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
神経栄養因子は神経の新生、分化、維持に必要であり、神経成長因子(nerve growth factor, NGF)、脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor, BDNF)等が知られている。申請者によってマウスにおいては離乳後n-3系脂肪酸制限食を4週間給餌すると線条体のBDNF量が低下すること、p38 MAPキナーゼ活性が低下することが明らかになっている(Miyazawa D. et al. Life Sci., 2010)。さらに長期(8週)給餌をしたところ、大脳皮質、線条体、海馬ともに、n-3系脂肪酸制限食群のDHAは減少、またPKC活性やp38 MAPK活性の変化を伴い、BDNF量は大脳皮質、線条体において、n-3系脂肪酸制限食群で減少することが明らかとなっている。(Miyazawa D. et al. Biomed. Res., 2011)。 このような背景を基に、出産直後の親マウス(雌)にn-3系脂肪酸欠乏食を2週間与え、その母乳で育てられた仔マウスの脳を大脳皮質、線条体、海馬の領域に分けて摘出した。線条体の脂肪酸組成を測定したところ、n-3系脂肪酸欠乏食群でドコサヘキサエン酸(22:6n-3, DHA)が減少していた。また、アラキドン酸(20:4n-6)は増加していた。またn-6/n-3比はn-3系脂肪酸欠乏食群で有意に高かった。この結果から授乳期の親の食餌脂肪酸が、母乳を介して仔の脳の脂肪酸組成に影響を与えることが明らかとなった。また、過去の報告からBDNF量やプロテインキナーゼ活性に影響を与えている可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
出産直後の親マウス(雌)にn-3系脂肪酸欠乏食を2週間与え、その母乳で育てられた仔マウスの脳を大脳皮質、線条体、海馬の領域に分けて摘出した。線条体の脂肪酸組成を測定したところ、n-3系脂肪酸欠乏食群でドコサヘキサエン酸(22:6n-3, DHA)が減少していた。また、アラキドン酸(20:4n-6)は増加していた。またn-6/n-3比はn-3系脂肪酸欠乏食群で有意に高かった。餌の脂肪酸組成を反映する結果となった。しかし、胎児の脳の解析は予定通りには進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
離乳前の仔マウスの大脳皮質や海馬の脂肪酸組成は母親の食餌の脂肪酸の影響を受けているかを調べるために、ガスクロマトグラフにより脂肪酸組成を測定する。また、胎児についても同様に解析する。神経成長因子(nerve growth factor, NGF)、脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor, BDNF)、neurotrophin-3(NT-3)、neurotrophin-4/5(NT-4/5)等をELISA法により定量し、食餌群間に差があるかを解析する。免疫組織染色を行い、神経新生に食餌群間で差があるか解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ELISAの試薬として30万円使用を考えている。免疫組織染色の試薬として30万円、プロテインキナーゼ活性測定の試薬として20万円程度使用予定である。
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Research Products
(6 results)