2011 Fiscal Year Research-status Report
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23700930
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
三田 有紀子 椙山女学園大学, 生活科学部, 講師 (00410613)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | クロム / クロム摂取量 / クロム排泄量 / 食事摂取基準 / ICP-MS |
Research Abstract |
本研究では、日本人の日常生活における実際のクロム摂取量に関する基礎データを収集することを目的として、健常若年女性を対象として日常の食事を回収し、その摂取量を検討した。また、Crの主排泄経路である尿も回収して、摂取量の指標として利用できるかどうか検討した。被験者は本試験に同意を得られた健常な女子大学生10名(20.3 ± 0.6歳)とし、日常生活に関するアンケート、3日間の目安法を利用した食事調査、身体計測を事前に実施した。その後、月経期間を除いた5日間を試験期間とし、試験期間中は食事を通常通り自由摂取にしてもらい、その1食毎にすべての陰膳を取った。また、同期間の早朝尿及び24時間尿を全量採取した。収集した食事は均一化後、マイクロウェーブ分解装置を用いて分解し、ICP質量分析装置によりCr濃度を測定した。飲料および尿も同様に測定した。その結果、被験者10人のCr摂取量は、平均26.9 ± 20.4 μg/日、中央値 29.0 μg/日で、最大値と最小値では54.4 μg/日の差がみられた。「日本人の食事摂取基準(2010年版)」に設定されている18~29歳女性の推定平均必要量25 μg/日、推奨量30 μg/日と比較すると、実測値は推定平均必要量とほぼ同様の値であった。また、尿中Cr排泄量は平均25.2 ± 53.6 μg/日、中央値14.4 μg/日で、範囲は0.01~16.1 μg/日となった。摂取量と排泄量について経時的に相関関係を検討したところ、極値を外すことで摂取量に対して同日または翌日の24時間排泄量でともに有意に相関が認められ(p < 0.05)、それぞれの相関係数がr = 0.389、 r = 0.502となり、当日と比べて翌日により反映されることが明らかになった。また、Cr摂取量は早朝尿中Cr排泄量においても同様の傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の本研究では、健常若年女性を対象として習慣的なクロム摂取量を検討するため、陰膳法を利用した食事調査を予定通り実施した。試験期間中に回収した食事は、均一化後汚染の少ないマイクロウェーブを利用した密閉式湿式高圧分解し、ICP-MSを用いてDRCモードで高精度にクロム濃度を測定ができた。また、尿も同様に測定し、早朝尿および24時間尿のクロム排泄量が明らかにできた。したがって、平成23年度研究では概ね予定通りの解析ができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から、日常的なクロム摂取量と尿中クロム排泄量の関連性が明らかとなった。これを踏まえて、今後は以下の研究を予定道理推進する予定である。平成24年度:クロム出納と尿中クロム排泄量との関連性健常若年女性を被験者としてクロムの摂取量および排泄量を測定して、クロム出納を算出する。クロム出納試験の方法については、平成20年度科学研究費補助金若手研究B(課題番号20700604)で用いた方法を改良して行う。改良方法は現在予備研究中である。また、尿中クロム排泄量の様々な指標がクロム出納と関連性があるかどうかについても解析する。平成25年度:運動やストレスなどのライフスタイルがクロム出納に及ぼす影響平成23・24年度と同様に健常若年女性を被験者として、クロム出納試験とともに生活習慣や運動習慣などのライフスタイル調査を行い、これらがクロム出納に影響を与えるかどうか明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度も経費の用途は、平成23年度と同様、主に消耗品です。また、試薬やプラスチック器具などの購入が必要です。ICP-MSの測定で使用する周辺部品(ニッケルコーン、石英製トーチなど)やマイクロウェーブ関連部品(シール、高圧容器など)は単価が高いですが、寿命が約1年であるため、消耗品の中に計上しました。また、平成24年度は、(1)被験者の負担の増大、(2)謝金の増額、を検討しているため、謝金の費用を当初の予定より増額する予定です。
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