2011 Fiscal Year Research-status Report
メタボリックシンドロームモデルにおける機能RNAの分子メカニズムの検討
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23700938
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
安井 菜穂美 武庫川女子大学, 薬学部, 助教 (70399145)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / microRNA |
Research Abstract |
我が国における食生活の急激な変化は、脂肪摂取量の著しい増加によるところが大きく、それに伴い、内臓肥満を基盤とした各種生活習慣病リスク集積によるメタボリックシンドロームが急増している。この状況は、健康と疾患に関する世界的規模の問題となってきている。miRNAは、蛋白情報を持たない小分子RNAで、遺伝子転写後の発現制御を行っている。近年、病態を促進または抑制するmiRNAが各々同定され、様々な研究がなされているが、活習慣病、とくに肥満におけるmiRNA研究は未だ不十分である。本研究では、メタボリックシンドローム病態を呈する病態モデルラットにおいて、生活習慣病、とくに肥満の発症・進展機序の詳細について機能RNA(miRNA)プロファイリングを行い、非肥満と比較して変動しているmiRNAに注目した。12週齢SHRSP.ZFでは、肥満および高血圧を発症し、脂質代謝異常、インスリン抵抗性、腎障害が確認された。12週齢の腎臓および脂肪組織におけるmiRNAプロファイリングの結果、SHRSP.ZFで有意に変動がみられたmiRNAは腎臓で44種類、脂肪においてはわずか4種類であり、機能や関連遺伝子が明らかになっているものは少なかった。 今後、それら候補miRNAについてリアルタイムPCR法にて発現を確認し、その機能についてさらに検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、モデル動物SHRSP.ZFの病態解析を行い、肥満および腎障害が認められる12-13週齢における組織において、マイクロアレイ法によるmicroRNAの発現量解析を行い、非肥満の対照動物と比較した。発現量解析を進めるまでに、動物組織からのmicroRNAを抽出するにあたり、サンプルが不安定な為、解析できるサンプルがそろうまでに時間を有した。また、モデル動物の供給にあたり、必要数が一度にそろわなかったこともあわせ、計画当時の予定よりも研究の進行が遅れている。現在も実験を進め、遅れを取り戻すべく取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は動物より採取したサンプルの安定性がわるく、調整に時間がかかったのにあわせ、使用したモデル動物は供給に時間を有するため、計画より進行が遅れ、未使用金が発生した。本年度の一部実験は次年度に繰り越して行う。本年度はメタボリックシンドロームモデル12週齢の腎臓および脂肪組織において、マイクロアレイ法によるmicroRNAのプロファイリングをおこなった。モデル動物では、肥満・高血圧・糖尿病が認められ、それらの病態の合併によって腎障害の増悪化が示唆された。マイクロアレイ法によって、非肥満対照動物に比べてメタボリックシンドロームで変動がみられたmicroRNAついて、リアルタイムPCR法でも発現量を確認する。また、肥満およびメタボリックシンドロームの形質とmicroRNA発現を対応させ、候補機能RNAの同定することを試みる。そのためには、候補機能RNAのアンチセンスオリゴや培養細胞での機能解析が必要となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の未使用金341,148円は、当初の予定通り、モデル動物の基礎分析およびmicroRNA定量について使用し、実験の遅れを取り戻す。また、次年度の研究費は、当初の予定通り、主にELISAキット、特別測定費用、およびmicroRNAの発現解析試薬に使用する。 次年度は今年度に得られた結果をふまえ、モデル動物における病態の週齢変化を調べるとともにマイクロアレイ法による発現量解析で有意に発現が変化しているものについて、リアルタイムPCR法によりTaqManプローブを用い発現を確認する。病態の週齢変化を調べるには、血中および尿中における腎障害、酸化ストレス、炎症、糖尿病等の指標を中心に、ELISAキットを用いて測定し、一部は測定を外部業者へ委託する必要がある。メタボリックシンドロームモデルに特異的な発現については機能解析を進める予定であり、必要に応じて培養細胞購入し、細胞において候補microRNAに対して阻害作用を示すアンチセンスオリゴを作成・導入する等の手法によりmicRNAの細胞機能への影響をしらべる。得られた成果については、国内および国際学会にて発表する予定である。
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