2011 Fiscal Year Research-status Report
結合組織タンパク質調製物の経口摂取による食事由来ペプチドの血中移行とその生理機能
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23700944
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Research Institution | Osaka Yuhigaoka Gakuen College |
Principal Investigator |
重村 泰毅 大阪夕陽丘学園短期大学, その他部局等, 助手 (20373178)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | エラスチン / 結合組織タンパク質 / タンパク質加水分解物 / Pro-Gly / ペプチド / 食事由来ペプチド / コラーゲン / ヒドロキシプロリン |
Research Abstract |
全研究期間内での目標としては、結合組織タンパク質の摂取後に、血中へ吸収される食事由来の低分子ペプチドを検出し、そのペプチドの細胞に対する生理活性を調べることである。平成23年度においては、結合組織タンパク質であるエラスチン加水分解物摂取後、血中の食事由来ペプチドの検出を目標として研究を進めた。【方法】被験者に加水分解物を被験者に摂取して頂き、0、30、60分後に末梢静脈の血液を採取した。血漿を調製後、エタノールによるタンパク質除去、イオン交換樹脂によるペプチドとアミノ酸の吸着回収を行った。回収されたペプチドはゲル濾過HPLCによって分子量別に分画、回収された。分取した低分子ペプチド画分には、PITCによる誘導化処理を行い逆相HPLCによる分離を行った。各摂取時間後のクロマトグラムを比べ、摂取後に出現・増加するピークを回収し配列の同定を行った。PITC誘導化ペプチド(PTC-ペプチド)はエドマン分解の生成物であるため、誘導化物を直接的に、エドマン分解法を基にしたアミノ酸配列解析装置による分析が可能である。【結果】エラスチン加水分解物摂取後、血中でPro-Gly濃度が増加していることが分かった。これは、エラスチンタンパク質にはPro-Glyの豊富な繰り返し配列が存在し、この低分子ペプチドが血中へ吸収されたことが考えられる。エラスチンペプチド摂取後(10g/60kg体重)のPro-Hypの血漿中濃度は、30と60分でそれぞれ23.1と21.0μMであった。これまでにコラーゲン加水分解物摂取後のヒト血中で、Proが修飾を受けたHypを含む特殊な食事由来ペプチドがμMレベルで検出されている。今回、修飾を受けていない高濃度の食事由来ペプチドを血中から検出する事に初めて成功した。次年度から、Pro-Glyの細胞に対する生理活性について調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に提出した平成23年度の計画通り、結合組織タンパク質加水分解物であるエラスチンペプチド摂取後のヒト血液から、食事由来ペプチドの検出を試みた。その結果、ヒト血液から食事由来エラスチンペプチドとして、Pro-Glyを検出することに成功した。実験手法としては、これまでコラーゲン摂取後の血液から食事由来ペプチドの検出に成功しており、その方法を基に行った。エタノールによるタンパク質除去・イオン交換樹脂によるペプチドとアミノ酸の吸着回収・ペプチドのゲル濾過HPLC分画・PITCプレカラム誘導化逆相HPLCによる分離を通して、食事由来ペプチドを分離した。各摂取時間後のクロマトグラムを比べ、摂取後に出現・増加するピークを回収し配列の同定を行った計画通り、上記実験方法からPro-Glyを同定した。次年度はこのペプチドの機能性について検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、エラスチン摂取後のヒト血液から、食事由来ペプチドの検出に成功した。今後は、結合組織タンパク質である、軟骨のプロテオグリカン加水分解物摂取後の血液からの食事由来ペプチド検出を試みる。また、食事由来エラスチンペプチドPr-Glyと、食事由来プロテオグリカンペプチドの細胞に対する生理活性について調べる。ヒト血液中に存在する、食事由来プロテオグリカンペプチドは短鎖ペプチドであることが予想され、さらに微量成分であることが考えられる。そこで、これまで行ったきたプレカラム誘導化法と、新たな誘導化試薬を導入した方法を用いて、検出を試みる。新たな誘導化試薬としてAccQを用いる。この誘導化試薬は、これまで使用していたPITC誘導化試薬とは異なり、誘導化物質をMS分析によって検出と同定する事が可能である。そのため、これまでの手法よりも高感度な検出が可能である。細胞に対する影響は、マウス皮膚より調製する初代線維芽細胞を用いて行う。この細胞は、皮膚からの遊走によって調製した細胞であり、継代細胞ではなく、またコラゲナーゼ処理などを行わないため、それらに比べて生体内に近い条件であると考えられる。これら細胞を使い、検出された食事由来ペプチド添加が、細胞増殖、コラーゲンゲル収縮能、さらにAGE生成等にどのような影響を及ぼすかについて調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度より所属研究機関が変更するため、これまでの研究を継続するため、設備や機器の購入が増えると考えている。そのため若干研究費の使用計画に変更が生じることが予想される。機器としては、ペプチド検出用のHPLC関連機器や細胞培養関連の機器である。
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Research Products
(9 results)