2011 Fiscal Year Research-status Report
機器分析を志向した簡便かつ迅速なビタミンB12分析法の開発と評価
Project/Area Number |
23700946
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
松本 輝樹 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 食品保健機能研究部, 室長 (70455418)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ビタミンB12 / 定量分析 / LC/MS |
Research Abstract |
水溶性ビタミンの定量法として、広く微生物学的定量法 (MBA) が採用されているが、結果を得るために長時間を要すること、夾雑物の影響を受けやすいことや、操作の煩雑さにより分析精度に問題のあることが知られている。そこで、本研究では MBA を分析法とする水溶性ビタミンのうち、含有量の低いビタミン B12 (B12) に着目し、市販の食品を対象とした、機器分析法の開発とその妥当性について検討を行うものである。本法により B12 定量分析の効率化と測定時間の短縮を目的とする。 本年度は、以下の 3 項目に関して検討を行った。【1.安定同位体標識化シアノコバラミン 13C15N-cbl 及び 13CN-cbl の合成】1 mg/mL OH-cbl 水溶液に、0.05 % K13C15N または K13CN を等量添加し、遮光条件下で 90 分反応させ、収率 100 % で安定同位体標識化シアノコバラミンを得た。【2.Ribose-5'-OH の誘導体合成】CN-cbl を DMSO 溶媒に溶解させ、1,1’-carbonyldi-(1,2,4-triazole) (CDT) を加えた後、30 度, 30 分撹拌することにより、Ribose-5'-OH に CDT が付加した誘導体を得ることができた。誘導体は、さらにアルキルアミンなどと反応させ、種々のエステル体を得た。【3.抽出方法に関する検討】市販のサプリメントを対象とした抽出方法の検討では、抽出回数 1 回に比べて 2 回の方が、収率が高くなることが明らかとなった。また、認証標準物質を用いた検討でも、同様の結果が得られた。 これまでビタミン B12 は、安定同位体や誘導体がなく、LC/MS での精確な定量化が困難とされていたが、検討 1. 及び 2. から、これらを応用した定量法の構築に関する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた課題のうち、B12 誘導体の合成に関しては、安定同位体を用いた検討及び置換基の導入ともに順調に進展している。抽出方法に関する検討では、サプリメントを対象とした検討において、一定の成果を得、雑誌論文への掲載が決定した。しかし、タンパク質分解酵素を用いた検討に関しては、現在も検討中であり、至適条件を得るに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
誘導体合成が順調に進展していることから、本年度は、抽出方法の最適化、特に固相抽出の応用、に関して重点的に検討を行い、分析方法の確立及び妥当性確認を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度対応できなかった、成果の発表を行うとともに、固相抽出に関して検討を行う。また、交付申請書において人件費・謝金の計上を行っているが、本年度も使用予定がないことから、一部は比較的単価の高い固相抽出カートリッジや酵素の購入に充当する予定である。
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