2011 Fiscal Year Research-status Report
食事教育コンテンツを用いた生活習慣改善のための行動変容促進に関する研究
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23700948
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
谷 昇子 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究情報基盤管理室, 非常勤研究員 (70553072)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 食事教育 / 生活習慣改善 / 行動変容 / 循環器疾患 / 情報システム |
Research Abstract |
本研究では、循環器疾患の予防をめざした自発的な生活習慣改善のため、写真画像の効果に着目した食事教育コンテンツを用いて患者の意識を高めることで、行動変容の促進を支援する。このために構築中のシステムは、患者側の入力端末、医療機関側のWebサーバ、医師側のパーソナルコンピュータによって構成される。 平成23年度は、下記のコンテンツについて、機能の実装を行った。 (1)食事記録コンテンツ:JSP(JavaServer Pages)技術を用いて作成した。記録方法としてメニュー選択方式を採用し、一汁三菜の考えに沿って、大分類→中分類→メニュー(例:主菜→魚料理→鮭の塩焼き)の手順で絞り込む機能を実装した。この方法では、摂取した料理の1人分の標準的なエネルギー量と補正情報が記録でき、煩雑となりやすい食事情報の入力操作の簡便化をはかった。 (2)食事教育コンテンツ:食品模型(フードモデル)の画像情報を専用のオンラインデータベース(DB)に登録して、ブラウザ上からいつでも視覚的に食品量の目安を確認できるように工夫した。DBの作成と管理にはMySQLを利用し、JSPと連携して、フードモデル画像、食品名、正味量が参照できるプログラムを作成した。フードモデル画像は、食品名に画像HTMLページをリンクした形で格納する仕組みとした。約80種類の食品名をDBに登録し、そのうちの28種類分を撮影した。 (3)摂取熱量提示コンテンツ:Excel のVBA(Visual Basic for Applications)を利用して、食事記録の内容を表示できる参照フォームを作成した。食事記録のサンプルデータを用意し、食事毎の摂取熱量が計算できる状態となっている。 (1)(2)(3)の研究内容は、第18回日本未病システム学会学術総会にて、"食習慣の改善支援を中心とした行動変容促進システムの構築"の演題で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書では、23年度に(1)食事記録コンテンツと(2)食事教育コンテンツの作成を計画した。(1)については、選択できる食事メニューとして、医師、管理栄養士からの意見聴取に基づき約600品目の料理項目を選定した上で、食事内容を大分類→中分類→メニューの手順で絞り込めるように作成できた。ユーザ側からWebブラウザを介して入力・送信された食事情報を、Webサーバに蓄積・保存する機能の実装も済んでいる。(2)については、フードモデルとして、日常的によく使われる食品から80種類程度を選定した。このうち、炭水化物を中心とした28種類について、80kcalに相当する量を用意し、実物サイズとの比較がより分かりやすい環境条件を決定するため、白背景、黒背景、メジャー付、割り箸付などの条件下で実験的に撮影した。作成したプログラムでは、フードモデル画像そのものはWebサーバのフォルダに格納し、追加・差替えが容易になるよう工夫してある。予定していた食品に含有される塩分量の表現などは24年度の課題とし、先に24年度に計画していた(3)摂取熱量提示コンテンツの作成を進めることとした。 一部コンテンツの作成時期に変更は生じたが、(1)(2)(3)のコンテンツの機能はそれぞれ作動する状態になっており、構築システムの利用による生活習慣改善への意識度の調査と評価にむけた、総合的な進捗状況としてはとくに問題なく、本研究の目的の達成度としては、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度では、食事教育コンテンツの作成において、作業課題として残っている部分に取り組む。23年度に用意した食品写真より、撮影の環境条件を整備し、80kcalに相当する約500種類の食品を6つのグループに分けた『食品交換表』と、それに基づく食品サンプル(レプリカフード)を参考に、使用頻度の高い食品群からフードモデル画像を用意する。この際、食品に含有される塩分量について調査し、食塩で表現することを試みる。 また、23年度に機能の一部を作成した摂取熱量提示コンテンツは、すでに実装済みの食事記録コンテンツの機能と連携させて、簡単なボタン操作で一日の総摂取熱量を算出し、参照フォーム上に結果が反映できるようにする。 作成した3つのコンテンツを併せて、システムの利用による生活習慣改善への意識度を調査し、評価を行う。この意識度調査および評価は、ボランティアとしての協力者に本人の同意を得た上で、個人の特定ができないように進める。意識度調査の方法としては、3~5段階評価の記入式アンケート調査および、ヒアリング調査を予定している。 なお、協力者がシステムを利用するにあたっては、作業用サーバとは別に新たなサーバを立ち上げ、作成したプログラムを移植し、入力実験専用としてシステムの環境を整備し、意識度調査および評価を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実際に市販されている食品はさまざまであり、一般的な家庭料理や80kcalに相当する食品では、基準となる正味量や食品サイズを理解できるように工夫することが重要である(例:ミカンの80kcalは、"中"の場合2個分に相当し、"小"の場合4個分に相当するなど)。実物の食品を使用したフードモデルの写真撮影に際し、基準となるフードモデルサイズを把握するため、栄養指導などで利用されている食品サンプル(レプリカフード)の購入を予定している。また、写真撮影に使用するデジタルカメラ類、写真画像の加工に使用するソフトウェア、写真データの保存に使用するハードウェア、関連データのバックアップに使用するメディア類の購入を予定している。 さらに、ボランティアとしての協力者に、生活習慣改善への意識度の調査および評価を行う際、入力実験専用として、サーバ、無線LANルータ(アクセスポイント)、入力デバイス(携帯端末、タブレットPCなど)などのハードウェア環境を整備する予定である。 構築したシステムの実験・評価より得られた結果を報告、発信する手段として、国際学会(IEEEなど)での発表、国内学会(健康科学学会、日本総合健診学会など)での発表、英文誌(Journal of Medical Systems)への投稿を予定している。このため、旅費、英文校閲、投稿料などの支払いを予定している。さらに、栄養に関する専門的知識の提供や、実験の協力に対して謝金を支払う予定である。
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Research Products
(1 results)