2011 Fiscal Year Research-status Report
「遊び仕事」を取り入れた体験的環境教育プログラムの開発:伝統養蜂を題材として
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23700949
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
溝田 浩二 宮城教育大学, 環境教育実践研究センター, 准教授 (00333914)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 遊び仕事 / 環境教育 / 伝統養蜂 / ニホンミツバチ / 対馬 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「遊び仕事(マイナー・サブシステンス)」を「環境教育」の中に位置づけ、「遊び仕事」の要素を取り入れた体験的な環境教育プログラムを開発することである。「遊び仕事」の具体的事例として、長崎県対馬で盛んに行われている在来種ニホンミツバチの伝統養蜂を取り上げる。対馬には伝統養蜂の形態が今なお色濃く残されており、ニホンミツバチを介した「自然と人間との共生関係」をつぶさに見ることができる稀有なフィールドである。 初年度(平成23年度)は、四季を通して対馬のニホンミツバチ伝統養蜂の現状を把握するために、5月(1回目の分封)、6月(2回目の分封)、7月(巣箱の内検とスムシ防除)、10月(採蜜およびハチミツコンクール)、12月(巣箱作り)、2月(給餌)の計6回、それぞれ1週間~10日間程度のフィールド調査を実施した。具体的には、養蜂家から直接話を聞く「聞き取り調査」と、実際の養蜂作業を継続的に観察する「参与観察」の方法により、(1)対馬におけるニホンミツバチの伝統養蜂の現状把握、(2)伝統養蜂に内包されている知識・技術・知恵・文化の各要素の抽出、(3)環境教育プログラムの開発に必要なデータ・資料の収集、を進めた。 一連の調査を通して次第に明らかになってきたことは、(1)対馬における伝統養蜂は、ニホンミツバチの性質を熟知し、繊細な配慮をしながら、自然のしくみや秩序を破壊せずに巧みに利用することで成り立ち、持続的なものになっていること、(2)対馬に豊かな自然生態系が残されていることが、「遊び仕事」としての伝統養蜂が成立している大きな要因であること、(3)ニホンミツバチを伝統的な手法で飼うという行為自体が、対馬の自然環境の保全・再生に寄与していること、などである。これらの研究成果の一部は、日本環境教育学会第22回大会において口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、「遊び仕事(マイナー・サブシステンス)」を「環境教育」の中に位置づけ、「遊び仕事」の要素を取り入れた体験的な環境教育プログラムを開発することである。 初年度(平成23年度)は、地元の養蜂団体(対馬市ニホンミツバチ部会)の全面的な協力が得られたこともあり、「遊び仕事」に内在する豊富な知識・技術・知恵・文化と「環境教育」との接点を見出すという研究目的を十分に達成することができた。2年目(平成24年度)にフィールド調査で得られた成果を基盤とした体験的な「環境教育プログラム」を開発し、最終年度(平成25年度)にその教育効果を評価・検討する予定であるが、初年度(平成23年度)はそのための資料やデータ、素材等を十分に揃えることができたことから、研究は「おおむね順調に進展している」と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成24年度)は、初年度(平成23年度)の研究成果を基盤とした体験的な「環境教育プログラム」を開発し、最終年度(平成25年度)にその教育効果を評価・検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度(平成24年度)は、ニホンミツバチ伝統養蜂の宮城教育大学への導入、伝統養蜂を題材とした環境教育プログラムの試作に加え、対馬における補足調査を3回程度計画している。そのため、養蜂に必要な消耗品や調査旅費が研究費の大半を占める予定である。
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