2012 Fiscal Year Research-status Report
「遊び仕事」を取り入れた体験的環境教育プログラムの開発:伝統養蜂を題材として
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23700949
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
溝田 浩二 宮城教育大学, 環境教育実践研究センター, 准教授 (00333914)
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Keywords | 遊び仕事 / 環境教育 / 伝統養蜂 / ニホンミツバチ / 対馬 |
Research Abstract |
本研究の目的は、遊び仕事(マイナー・サブシステンス)の要素を取り入れた体験的な環境教育プログラムを開発することである。遊び仕事の具体的事例としては、昨年度と同様、長崎県対馬市で盛んに行われている在来種ニホンミツバチの伝統養蜂を取り上げた。 四季を通して対馬のニホンミツバチ伝統養蜂の現状を把握するために、4月、5月、9月、10月の計4回、それぞれ1週間~10日間程度のフィールド調査を実施した。具体的には、ニホンミツバチを介した「自然と人間との共生関係」に着目しながら、養蜂家から直接話を聞く「聞き取り調査」、ならびに、実際の養蜂作業を継続的に観察する「参与観察」のという2つの方法により、①対馬におけるニホンミツバチの伝統養蜂の現状把握、②伝統養蜂に内包されている知識・技術・知恵・文化の各要素の抽出、③環境教育プログラムの開発に必要なデータ・資料の収集、を進めた。 これらの調査によって、対馬における伝統養蜂という営為には、(1)ニホンミツバチの性質を熟知し、繊細な配慮をしながら、自然と対峙して生きる養蜂家の経験によって支えられてきた豊富な「知識や技術や知恵」と、(2)蜂蜜の収獲の喜び、分封群捕獲の興奮、神経質な野生のミツバチとつきあう奥深さ、創意工夫が求められる労働(巣箱作り、道具作り等)の面白さといった「多面的な楽しみ」の要素が凝縮されていることが明らかになってきた。そして、この「楽しさ」こそが、経済的な意味はそれほど大きくない営為を継続させている大きな要因となっているようである。 遊び仕事(マイナー・サブシステンス)の要素を取り入れた体験的な環境教育プログラムを試作して実践を行い、その研究成果の一部は、日本環境教育学会第23回大会、日本島嶼学会隠岐大会、第12回漂着物学会において研究発表を行った。また、宮城教育大学環境教育研究紀要第15巻に論文を投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、遊び仕事(マイナー・サブシステンス)の要素を取り入れた体験的な環境教育プログラムを開発することである。2年目にあたる平成24年度は、①対馬におけるニホンミツバチの伝統養蜂の現状把握、②伝統養蜂に内包されている知識・技術・知恵・文化の各要素の抽出、③環境教育プログラムの開発に必要なデータ・資料の収集、といった作業を進めながら、遊び仕事の要素を取り入れた体験的な環境教育プログラムを試作することができた。さらに、教育実践にも取り組み、成果の一部を論文として印刷することができた。 以上のことから、本研究は「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(平成25年度)は、作成した環境教育プログラムの教育効果を評価・検討する予定である。ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI(研究成果の社会還元・普及事業)に企画プログラム「ニホンミツバチっておもしろい! ~伝統養蜂の世界へようこそ~」が採択されたことから、その機会を積極的に利用して、環境教育プログラムの教育効果を評価・検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度(平成25年度)は、成果還元のための対馬への出張旅費、環境教育学会(滋賀)、島嶼学会(高知)等における成果発表のための旅費が、研究費の大半を占める予定である。
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