2012 Fiscal Year Research-status Report
シームレス化を目指す理科・地震防災教育にドラマ性を取入れた体感し学ぶ教育実践研究
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23700957
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
山田 伸之 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80334522)
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Keywords | 地震防災 / 防災教育 / 乳幼児 / 遊び / 理科教育 |
Research Abstract |
本課題の今年度のタスクは,昨年度と同様に,小さな子どもたちを主対象として,「理科・防災教育の充実」および「安全で安心な明るい未来社会の構築」への一助となるために,学校教育や日常生活の枠組みを越えた知識・行動力を要する内容の一つであると考えられる『強震動(地震時の強い揺れ)とそれによって引き起こされる災害』に対する理解を深め,擬似体験を通じた効果的で印象に残る教具教材と教育啓蒙手段の開発検討を行うことと,保幼小などの園・学校と研究者の連携による教育実践活動を行うことの2つであった。 今年度は,これまでに考案・製作してきた教材・教具および方法を活用し,幼稚園・保育園などで実践活用する防災保育に重きを置き,子どもたちの行動や発せられる言葉など様子や反応,そして,その効果を抽出することを試みた。また,子どもたちだけでなく,現場スタッフの幼稚園教諭や保育士および保護者への本課題実践活動に関するアンケートや聞き取り調査等を実施し,活動全体の効果検証も行い,データの蓄積化を行った。全般的に,前向きなコメントが得られ,本課題の目標に一歩は近づいたものと考えられ,年少の子どもたちと保護者たちへの防災教育の拡充の確かな歩みをみることができた1年であったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績概要に記した事柄について,年度当初に記した計画に沿って,年少の子どもたちを主対象とした地震防災教育教材や教具の開発および防災教育・防災訓練のスタイルの形成をある程度実行できたものと考えている。子どもたちに向けたものだけでなく,保護者や現場スタッフなどの大人たちへの防災普及活動を組み込み,対象者の拡大を図ることもできた。また,タイトルに示す理科教育と防災教育(保育)の垣根を越えた子どもたちへの教育実践の試みとしても,現場スタッフたちの自らの力で取り組むことができそうであるというコメントが得られ,当初の目標の一つを達成することもできた。従って,本課題の当初の目標は,概ね達成できた(概ね順調な進捗)と考えられる。しかしながら,2011年の震災前にプランニングされたタイトル中に示したもう一つの主眼であった「ドラマ性を取入れた・・・」に関しては,東日本大震災の経験から,防災教育の中で「想定(ストーリー)」は必要か否かという問題に直面したため,この点については今後の課題とし,達成度の判断には考慮しないこととした。また,成果の発信の面では,国内では発表等をすでに数回実施したが,やや国内外への情報発信力は弱かった。よって,中程度の進捗状況であるとし,区分②とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題タイトルは,「シームレス化を目指す理科・地震防災教育にドラマ性を取入れた体感し学ぶ教育実践研究」であることから,分野や領域の境目を感じることなく防災教育を実践する取り組みであり,平成23,24年度の当初研究期間の間に開発・製作・実践の流れと,点検のサイクルを繰り返し,問題点や課題が浮き彫りにもなり,実践研究としては,実を結びつつあるといえる。当初計画よりも研究期間を1年間延長したことによるメリットを最大限に生かし,さらに実践数を重ねて,データの蓄積化を図りたい。また,現在までの達成度の項で記した課題・問題点についても継続的な模索と改善を図り,より効果の高い年少者への防災教育を形作っていきたい。さらに,これまでの研究成果の公表や取りまとめ,および情報発信に重きを置くとともに,次なるステップのための課題の抽出や方向性を見出していく予定である。なお,メンタル的な震災のダメージを受けている子などがいる場合には引き続き十分な配慮をしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本課題においては,当初より低予算での研究遂行と成果の創出を掲げてきており,経費の節約努力が功を奏し,また,諸事情により海外での学会等の成果発表の機会を逸してきたたことから,剰余経費が発生し,研究期間を延長し,平成25年度も本課題を継続することとなった。従って,次年度は,より効果的に実践活動を繰り広げ,前項までの欄に記した事項を確実に実行していくこととしたい。特に,研究成果の国内外への情報発信にも重点を置くとともに,防災教育充実化に資する次期取り組みへの下地作りおよびコミュニティを構築しておくための経費に充当させることとし,新たな連携学校・園の拡大,教材・教具の広報の仕方や各種課題への対応策の検討なども行うこととする。
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Research Products
(5 results)