2012 Fiscal Year Research-status Report
幼児期における自然教育の歴史と展望:奈良女子高等師範学校附属幼稚園資料の分析から
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23700960
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Research Institution | Osaka Seikei College |
Principal Investigator |
藤崎 亜由子 大阪成蹊短期大学, その他部局等, 准教授 (50411690)
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Keywords | 幼児教育史 / 自然教育 / 動物介在教育 / 保育内容「環境」 |
Research Abstract |
本研究は日本の風土に根ざした自然教育法の提示を目的として、歴史的に重要かつ未だ深耕されていない奈良女子高等師範学校附属幼稚園(大正元年保育開始)の保育日誌等を基軸としつつ、「生きものとの関わり」という視座をもって、幼児教育における実践の系譜を分析することを目的としている。 日本の自然教育には長年の蓄積があるものの、近年の身近な動植物との交流の喪失、地球規模での環境変化、地域社会性をもった伝統文化の喪失などの状況に対応した理念や方法論は十分に確立されているとは言い難い。本研究では、保育実践の歴史を辿りつつ、就学前の子どもたちが身近な生きものと出会う発達的意味を再考したい。 本研究を遂行するに当たっては、以下に示す3つのプロセスが必要である。(A)奈良女子高等師範学校附属幼稚園資料の電子化およびデータベースの構築:資料をスキャナで取り込み電子的にアーカイブ。(B)資料データの書き起こしと分析:電子データ化した資料から、動植物に関わる部分を抜粋。(C)分析結果の理論化:国内外の幼児教育「環境」の制度と理論の歴史、および実践記録を収集しまとめるとともに、動物介在教育の理念などをまとめ日本的風土(自然及び文化)と照らし合わせる。 昨年度(2011年度)、(A)資料の電子化については実施済みである。本年度は、(B)資料の書き起こしと動植物に関わる部分を抜粋を行い、大正時代の保育案については終了した。(C)理論化のための文献収集は継続中である。また、(B)資料の書き起こしの結果を踏まえて、大正時代の保育案を一部まとめて保育学会で発表を行った。来年度は、最後のまとめとして、日本の幼児教育における自然教育の歴史的変遷において、奈良女子高等師範学校附属幼稚園の実践の意味づけを行い、今後の自然教育のあり方を提言したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、大正および昭和初期の保育案より、動植物との関わりを含む内容を抜粋しているが、手書きの保育案の書き起こしがやや遅れている。そのため、大正時代の保育案の抜粋については終了したものの、昭和初期の保育案はこれからとりかかるところである。早急に進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年度は、(A)資料の電子化を行い、2012年度は電子化したファイルの整理を行った。その作業により、資料のアーカイブという目標は達成した。また、大正時代の保育案から動植物が登場する箇所を抜粋する作業はすでに終了した。2013年度は、昭和初期の資料の書き起こしを早急に行っていきたい。さらに、2013年度が最終年度となるため、日本の幼児教育における自然教育の歴史的変遷において、奈良女子高等師範学校附属幼稚園の実践の意味づけを行い、今後の自然教育のあり方を提言したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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