2013 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期における自然教育の歴史と展望:奈良女子高等師範学校附属幼稚園資料の分析から
Project/Area Number |
23700960
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Research Institution | Osaka Seikei College |
Principal Investigator |
藤崎 亜由子 大阪成蹊短期大学, その他部局等, 准教授 (50411690)
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Keywords | 幼児教育史 / 自然教育 / 動物介在教育 / 保育内容環境 |
Research Abstract |
本研究は日本の風土に根ざした自然教育法の提示を目的として、歴史的に重要かつ未だ深耕されていない奈良女子高等師範学校附属幼稚園(大正元年保育開始)の保育日誌等を基軸としつつ、「生きものとの関わり」という視座をもって、幼児教育における実践の系譜を分析することを目的としている。 本研究を遂行するに当たっては、以下に示す3つのプロセスが必要である。(A)奈良女子高等師範学校附属幼稚園資料の電子化およびデータベースの構築:資料をスキャナで取り込み電子的にアーカイブ。(B)資料データの書き起こしと分析:電子データ化した資料から、動植物に関わる部分を抜粋。(C)分析結果の理論化:国内外の幼児教育「環境」の制度と理論の歴史、および実践記録を収集しまとめる。 2011年度に(A)資料の電子化を完了した。また、2012年度は(B)資料の書き起こしと動植物に関わる部分を抜粋を行い、大正時代の保育日誌については終了した。本年度は、昭和13年度の保育日誌の書き起こしを終了した。その上で、昭和13年度の年長組計5クラスの一年の保育を追い、自然教育(特に動植物)の実態を定量的かつ定性的側面から明らかにした。保育要目「観察」を中心とした豊富な記述によると、幼稚園では、蚕や兎、金魚などが常時飼育され、時には子どもが連れてきた栗鼠や各種虫(蛍、蝸牛など)が飼育されていた。保育の流れとしては、保育者と子どもと環境の協奏として展開されていく様子が明らかになった。また年長組(計5組)を比較すると、組による動植物の取り上げられ方の違いが明らかになった。この結果から、保育者それぞれの好みや自然観が反映されている可能性を議論した。
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