2011 Fiscal Year Research-status Report
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23700961
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
濱田 栄作 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20413718)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 科学教育 / エネルギー概念 / 粒子概念 |
Research Abstract |
新学習指導要領「理科」では,「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」を科学の基本的概念の柱に据え,小・中学校を通じた内容の構造化が図られている。高等学校においても,これらの四概念が円滑に引き継がれることが求められており,それぞれの概念が相互に結びつく教材が必要となる。本研究では,電磁気と原子・分子の分野について,視覚的に現象を確認でき,「エネルギー」概念と「粒子」概念を結びつけた学習が可能になる教材を開発している。平成23年度は,荷電粒子(電子)を視覚的に観察するために,真空系,電子発生(電子銃)とその運動(輸送)を制御するシステムを開発した。真空系には,放電を防ぐためにターボ分子ポンプ排気ユニットを用い,高真空度の観察チャンバーを設置した。電子銃や,電子の輸送・制御系には,生徒の積極的な関与を可能にするために,自作可能な部品を多く取り入れた。電子銃には,タングステン線フィラメントに電流を流し,得られた熱放出電子を数十電子ボルトに加速し,輸送には磁場・電場を用いた。電子の観察には,当初,マイクロチャンネルプレートを検討していたが,取扱性とコスト面を考慮し,蛍光体による観察とした。以上により開発された実験教材は,電極の印加電圧を変えることで,エネルギーを自由に設定できるもので,エネルギーと,電場・磁場中における荷電粒子の振る舞いを学習することができる。また,電子銃フィラメントの作製では,熱電子放出等の電子物性に関する導入教材としての利用も可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
荷電粒子(電子)の観察方法が変更となったが,おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初,電子の観察にマイクロチャンネルプレートを検討していたが,取扱性とコスト面を考慮し,市販の蛍光体による観察とした。その結果,次年度に使用する研究費が生じた。翌年度は,蛍光体の作製に取り組むとともに,開発した教材に,光電子観察・計測システムを追加する。光源とターゲット(金属板)を設置し,光の照射により放出される光電子を観察する。さらに,光の強度・振動数と光電子数の関係を理解できるように,光電子数の計測を試みる。これにより,実験を通した,アインシュタインの光量子仮説の学習が可能になる。さらに,本研究で開発した教材が,校内のみではなく,校外からも利用できるように,システムをネットワーク化する。電場・磁場(電極間の電圧とコイル電流)をWEB上で調整可能にし,また,観察窓にWEBカメラを配置することで,電場・磁場による軌道の変化をリアルタイムで観察できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光電効果により放出された光電子の観察・計測および,インターネットを利用した制御システムを構築するために必要な物品を整備する。
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