2011 Fiscal Year Research-status Report
社会的ネットワーク分析を用いた正統的周辺参加の定量的評価手法の検討
Project/Area Number |
23700969
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
北村 智 東京経済大学, コミュニケーション学部, 講師 (40511960)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 実践共同体 / ネットワーク分析 / 熟達化 |
Research Abstract |
本研究では学術共同体という実践共同体における正統的周辺参加を評価する定量的な手法を、社会的ネットワーク分析を応用することで開発し、妥当性の検証を行うことを目的とした。この目的を達成することにより、これまで定性的アプローチが中心であった正統的周辺参加論に対して、社会的営みとしての学習という学習観に適う定量的アプローチを提示することができると考えている。平成23年度は上記の目的を達成するために、日本国内の学会を対象として、参加者の社会的ネットワークデータの作成をし、分析を行った。具体的には情報処理学会を対象として、2002年から2009年の全国大会および情報科学技術フォーラムにおける共著者データからネットワークデータを作成し、分析を行った。平成23年度に行った分析では、「実践共同体における位置」を定量的に評価する指標として中心性に着目をして分析を行った。中心性には複数の指標があるため、特によく用いられる次数中心性、近接中心性、媒介中心性に着目し、これらの指標の時系列的な変化の実態と、相互の関係について分析を行った。分析の結果、(1)それぞれの中心性の指標には乖離があり、用いる指標によって実践共同体への参加状態の評価が変わりうる、(2)相対的にみて中心的な位置に移行したと評価される者が次数中心性、近接中心性、媒介中心性の順に少なくなる、ということが示唆された。今後の研究では、平成23年度に扱った共同体よりも相対的にみて小規模な複数の共同体を対象として分析を進めること、妥当性の検討のためにネットワークデータ以外のデータとの組み合わせによる分析を進めることが必要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実際のネットワークデータを作成し分析を行なうことで、事前に想定した以上に高性能のコンピュータを分析に用いる必要があることが判明した。このため、分析環境の再構築が必要となり、当初目標とした平成23年度中の妥当性検証まで分析を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、平成23年度に扱った学術共同体よりも相対的にみて小規模な複数の学術共同体を対象として分析を進めていく。また、妥当性の検討のためにネットワークデータ以外のデータとの組み合わせによる分析を進めていく。また研究の状況に応じて、環境整備を行ない、研究の目的を達成するために努力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度中には、分析環境の再構築のために事前に予定した以上に物品費を使用した一方で、研究補助を要する段階まで研究が進展しなかったため、平成24年度使用額が生じた。平成24年度には、研究補助を動員することでデータの収集・整理作業の負荷を軽減し、研究を進展させる。また当初の予定通り、大会・研究会等で成果報告を行なうため、研究費から旅費を使用する。また、研究の状況に応じて必要となった場合には研究費から物品費を使用して、環境整備を行なう。
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