2013 Fiscal Year Annual Research Report
郷土芸能伝承のための連動に着目した技能の抽出・可視化に関する研究
Project/Area Number |
23700977
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
松田 浩一 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (70325926)
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Keywords | 郷土芸能伝承 / 加速度センサ / 圧力センサ / 身体知 |
Research Abstract |
加速度センサおよび圧力センサを併用した技能の抽出・可視化に取り組んだ.腰部に付けた加速度センサは,画像からは分かりにくい僅かな力の抜き・入れのタイミングや大きさをとらえることに適しており,また,足裏に付けた圧力センサは,前後の体重移動の変化をとらえることに適していることから,動作中に起きている現象を詳細にとらえることを狙い実験を行った.実験対象は,規定のテンポに合わせて直立状態から前に一歩出て足を揃えて,また戻る,「押し出し」という非常にシンプルな動作(基本的な動きとして学習項目の一つとなっていた動作)である.体重移動の仕方によって印象が変わりることから,指導者レベルでも基本に戻って練習をするような動作であるという. 指導者1名,初心者14名のデータを分析した結果,映像からは分かりにくいが,加速度センサと圧力センサのデータの傾向が,指導者と初心者で異なることが分かった.傾向の違いは,テンポに対する動き始めのタイミングの違いであり,テンポ音が鳴るよりも少し早めに体を倒し始めており,それによって一歩を踏み出す動作をスムーズにしていることが分かった.この倒れ込みは,指導者への聞き取りから,指導項目には含まれていないが,指導者自身は経験的に動作をスムーズにするために行っている動作であることが分かった.また,指導者自身は,どのような動作においても,テンポより早めに体を動かして次の動作をスムーズにしていることを自覚していることも分かった. 本研究の成果によって,暗黙的に教えている内容を表面化することができる可能性があることが示唆された.特に,加速度の変化の違いは,人の受ける印象の違いと強い相関がある可能性が高い.このことから,今後,感覚的情報と加速度の関係を深く調べることの意義を確認できた.
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