2012 Fiscal Year Annual Research Report
社会人の「学び」におけるサードプレイスと社会ネットワークが果たす機能
Project/Area Number |
23700984
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
松下 慶太 実践女子大学, 人間社会学部, 准教授 (80422913)
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Keywords | 学習 / ソーシャル・キャピタル / 社会人 / ネットワーク / サードプレイス / イノベーション |
Research Abstract |
本研究では社会人が所属している場以外で資格、語学、スキルなどを学ぶ場を「学びのサードプレイス」とし、現場へのフィールドワークを通して社会人の学びがどのように構成されているか、あるいは学びを促進させるために何が重要かを調査した。 その結果、社会人における学びの内容は多様であるが、それを促進させる重要な要素は他者とのつながりであることが示された。そのつながりには大きく区分すると、1) 一緒に勉強する仲間、2) 同じ勉強をしていなくても話したりできる仲間、があることが示された。これらはそれぞれソーシャル・キャピタル論で言う、「強い紐帯」と「弱い紐帯」に当てはめることができる。そして、これらのつながりには「ハブ」となる人が存在することが分かった。この「ハブ」となる人は自然発生的に生まれることもあるが、一方で、場を提供するスタッフが積極的にネットワークの生成に関与することにより、ある程度意図的に「ハブ」となることも可能であることが示された。 また学ぶだけではなく、さまざまな業界、年齢層の人が集うことによってキャリアを考えるきっかけになったり、そこでできたつながりによって新たなビジネスのきっかけになったりするなど、学びにとどまらない展開が見られることもあった。そういった意味では「学びのサードプレイス」に見られるつながりに注目した本研究は、「学び」を学校という空間、あるいは孤独にすべきだという学習観を拡大し、つながり、コミュニティ、コミュニケーションに基づいた学び、さらに言えば、イノベーションを考える上で重要な基盤を提供するものであったと言える。
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