2012 Fiscal Year Research-status Report
理由提示が可能な日本語・英語文法誤りの自動校正システムに関する研究
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23701000
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
乙武 北斗 福岡大学, 工学部, 助教 (20580179)
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Keywords | 文書校正 / 自然言語処理 / 文法誤り / 教育応用 |
Research Abstract |
当該年度では主に以下の2つの成果が挙げられる. 第一に,申請者は英語の動詞人称誤りおよび前置詞誤りの自動校正に関する競争型ワークショップに参加し,成果を発表した.昨年度は英語冠詞誤りに焦点を当てたが,本ワークショップへの参加を通して英語の動詞変化と前置詞の誤りに対応する校正手法の開発を行った.これは,当初研究の目的として1番目に挙げた「個々の文法項目を対象とした高精度な誤り自動校正手法の実現」に該当する.動詞の人称誤り校正手法に関しては,申請者が過去に開発した経験がなかったため,一からルールベースの実装を行った.しかしながら,多様な構文への対応に課題が残る結果となった.前置詞誤り校正手法に関しては,申請者が過去に作成した手法を知見として,新たに固有表現抽出の結果を取り入れた機械学習ベースの手法を実装し,比較的高精度な結果を達成できた. 第二に,申請者は議会会議録から日本語の敬語表現をモデル化する手法について国際会議で成果報告を行った.これも第一の成果と同様の目的である,「個々の文法項目を対象とした高精度な誤り自動校正手法の実現」に該当する.ただし,本成果発表の段階では誤り校正までは実現しておらず,その前段階である敬語表現のモデル化までが実現済みである.本発表によって,公開されている地方議会会議録データから自動的に作成した敬語表現のモデルが有効である可能性を見出すことができた.また,地方のデータを用いることから,地方独特の敬語表現に対応できる利点がある.しかしながら,方言等は形態素解析や構文解析で誤った形で出力される場合が多く,正しい解析をどのようにして得るかが課題として残る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度では,校正理由提示手法の開発を行い,アンケートによる評価を通して理由提示を視覚的に行う手法を提案する計画であった.しかしながら,これらの手法に関する調査・検討は未だ行うことができていない. これらの事項は平成25年度において,固有名詞の定冠詞付与に限定した推定手法およびその理由提示手法の開発という形で,計画の遂行を図る予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年9月に英語冠詞誤りの自動校正手法について,対象を固有名詞の定冠詞付与に限定して理由提示に必要な詳細な結果を出力することを目的としたものを,国内のシンポジウムにて発表予定である.現在,校正理由提示手法の実現計画に遅れが生じていることを踏まえて,まずは固有名詞の定冠詞付与に限定した形で理由提示手法を開発する予定である. また,上記理由提示手法の成果物を既に成果発表を終えている各校正システムとまとめてウェブ上に公開し,それを用いたアンケートによる評価を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度で繰越金が生じた理由として,平成23年度の予算として計上していたウェブ公開用サーバの購入について,補助金の入金が分割された点,予定していた性能をより安価に実現できる点から,予算のおよそ半額にて購入が可能になったことが挙げられる.また,平成24年度の成果発表に伴う旅費が,予定していた地域より近い場所となり安価で出張できた.以上の2点を主な理由として繰越金が生じることとなっている. 次年度においては,研究計画に記載したWebインターフェイスの実装およびその印象評価について,未だ進捗が不十分であると考えられるため,評価実験被験者への謝金および成果発表旅費を計上する予定である.
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