2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23701007
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 幸治 東北学院大学, 文学部, 准教授 (30551775)
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Keywords | 医学教材 / 工芸技術 / 国際情報交換 ドイツ / 在外日本資料 / 経穴銅人形 / 漢方医学 / 和歌山藩 / 西条藩 |
Research Abstract |
二年次の研究として、①ドイツ国内の博物館所蔵日本医術関係資料の調査、②日本国内での文献調査および史料収集、②研究結果をまとめた論文執筆と研究結果を普及するための小学校副読教材の作成・配布を行った。 第一のドイツ国内での調査は、ハンブルク民族学博物館(ハンブルク)、二―ダーザクセン州立博物館(ハノーファー)、海外博物館(ブレーメン)、民族学博物館(フランクフルト)にて行い、銅人形に限らず日本の医術関係資料を調査した。このとき、英訳した日本国内における銅人形関係文献情報等を調査先の資料担当者に提供し、研究情報の共有と今後の協力関係確立について話し合うことができた。 第二の日本国内での文献調査および文献史料収集については、近世の漢方医学で使用された明堂図・経絡兪穴図と銅人形製作との関係についての資料収集と分析、日本における近代の銅人形の展示・公開に関する資料収集と分析を行った。 第三の成果物作成については、調査の経緯と成果および課題について「紀州藩で製作された銅人形について―その監修者と近代における展示についての覚書―」を『歴史と文化』第49号(東北学院大学学術研究会、2013年)としてまとめた。また、研究成果を普及するための冊子『紀州藩で作られた人体模型―銅人形とその設計者たち―』を作成した。この冊子は、小学校高学年向きに作成し、重要文化財銅人形(東京国立博物館所蔵)と知られざる紀州藩の銅人形製作の歴史を知ってもらうための副読教材であり、国内の主要な博物館・図書館と和歌山県内のすべての公立図書館に送付した。 この二年間の研究の実績は、紀州藩を中心とする日本の銅人形製作の経緯、それら銅人形が明治期以降に博覧会や医学関係の展示会で展示され銅人形が文化財として認識されていったこと、ドイツの博物館が近代に日本の医術関係資料を多数収集・展示したことなどを明らかにできたことである。
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