2013 Fiscal Year Research-status Report
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23701009
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
北島 雄一郎 日本大学, 生産工学部, 助教 (40582466)
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Keywords | EPR状態 / ベルの不等式 |
Research Abstract |
アインシュタインは、ポドルスキーとローゼンとの1935年の共著論文において、空間的に離れた二つの粒子に関する波動関数が存在して、その波動関数において一方の粒子(この粒子を粒子1とよぶ)の位置を測定することによって、もう一方の粒子(これを粒子2とよぶ)の位置を確実に知ることができ、かつ、その波動関数において粒子1の運動量を測定することによって、粒子2の運動量を確実に知ることができるような状態があることを示した。これは、EPR状態とよばれる。そして、EPR状態をもちいた議論から、彼らは量子力学は不完全であると結論した。 量子力学が不完全であるならば、この理論は我々が知らない隠れた変数を考えることによって完全になるかもしれない。ベルは、隠れた変数を仮定すると、ある不等式が導かれることを示した。これはベルの不等式とよばれる。このベルの不等式は破れているということが、実験によって確かめられている。つまり、ベルの不等式を導くときに仮定したような隠れた変数は存在しない。 このように、EPR状態とベルの不等式を破るような状態は、いずれも量子力学の完全性に関わる状態である。本研究では、これらの状態の論理関係を明らかにした。これによって、量子力学の完全性に関わる議論が明確になったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究業績の概要で述べたように、本研究では、EPR状態とベルの不等式を破るような状態の状態の論理関係を明らかにした。これによって、量子力学の完全性に関わる議論が明確になったといえる。この成果は、Foundations of Physicsに投稿し、出版された。このように、本研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究に引き続き、アインシュタイン、ポドルスキー、ローゼン(EPR)によって考えられた状態を詳しく精査する予定である。特に、近年量子情報の分野で提案されている量子テレポーテーションとよばれる、EPRによる状態をもちいた操作に注目し、この操作を精査していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会や研究会へ出席するための旅費が予定より少なかったため。 次年度は学会や研究会へ出席するめの旅費の使用額が今年度より多くなる予定である。
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