2012 Fiscal Year Research-status Report
骨組織形態学的分析により、微小骨片から旧石器時代の狩猟獣を復元する
Project/Area Number |
23701014
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
澤田 純明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10374943)
|
Keywords | bone histomorphology / species identification / Pleistocene / Japanese Archipelago / Upper Paleolithic |
Research Abstract |
日本列島の更新世人類遺跡から出土した微小骨片の組織形態学的同定法を確立するため、更新世哺乳類および現生標本の四肢骨緻密質薄切標本を作製して、骨組織形態計測を実施した。2012年度は、前年度までに収集した動物群に加えて、新たに Sinomegaceros yabei、Canis lupus、Martes melampus、Vulpes vulpes、Nyctereutes procyonoides、Palaeoloxodon cf. naumanni などから切片を作成した。 方法論に関して、これまでの検討により、二次オステオンの面積、ハバース管の面積、線形に配列された二次オステオン(osteon banding)の有無、Plexiform boneの有無、および骨皮質の厚さを組み合わせることで、中型偶蹄類、大型偶蹄類、小中型食肉類、大型食肉類、ゾウ、およびヒトの識別が可能であることを明らかにした。 また、青森県尻労安部洞窟遺跡の調査に参加し、旧石器時代の層準から石器と動物骨を採取することに成功したが、出土動物遺体はいずれも小片で、骨片はいずれも肉眼観察では種の同定が困難であり、本研究の骨組織形態学的検討が種同定に有効であることが期待された。現在、同遺跡出土資料の分析を進めており、その結果は2013年度に刊行予定の報告書に掲載される予定である。 その他、本研究の方法論を援用して著した原稿が書籍として刊行された(澤田純明「焼骨からわかること ―ミクロ形態学によるヒトと動物の識別―」、瀧川渉編『市民の考古学 12 骨考古学と蝦夷・隼人』、同成社、2012年)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比較標本の収集とそれらの骨組織形態計測は当初の予定通りに進んでおり、更新世人類遺跡から出土した骨片の分析も実施した。これまでに、その成果の一部を国際学会と著書で発表した。現在、研究成果の一部を論文にまとめ、国際学術雑誌への投稿準備を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 比較標本の骨組織形態計測データ収集を完了させ、その解析を実施する。 2. 研究成果を国際学術雑誌に投稿する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺跡出土骨試料および比較動物骨標本の収集のため遺跡・研究機関を訪問する旅費、試料の採取と包埋を行う作業補助員への謝金、および成果発表のため論文の英文校閲料を計上した。
|
Research Products
(9 results)